SQLを学ぶ意味、本当にある?採用現場で見えてきたリアルな話

SQLを学ぶ意味、本当にある?採用現場で見えてきたリアルな話のアイキャッチ画像(履歴書チェックから採用現場へのプロセスを示すアイコン)

先日、分析屋の採用面接で、こんな話になりました。「SQLって書いてある応募者、実は少ないんですよね」。意外でした。データ系の求人を扱う現場では、わりとよく聞く話だそうです。

会議の中で名前が出てくる。求人票の歓迎スキル欄に書いてある。SQLという言葉には、だいたいそういう場面で出会います。知ってはいる。でも、自分がわざわざ学ぶほどのものなのか。そこは、意外とよく分からないままになっていないでしょうか。

この記事では、SQLを学ぶ意味が本当にあるのか。実務での使われ方と、採用現場で見えてきた話の両方から、正直に考えてみます。

SQLを学ぶ意味、実際どうなんでしょう

先に結論だけ言ってしまうと、学ぶ意味は「ある」と思います。それも、思っているより大きいかもしれません。

ただ、「SQLができればデータ職になれる」という単純な話でもありません。まずはSQLの中身を軽くおさらいするところから始めます。

そもそもSQLって何?最低限知っておきたいこと

まず言葉の意味からです。SQLは、データベース(=大量のデータを、誰が見ても同じ定義で、何度でも正確に使えるように整理しておく仕組み)に対して「このデータを見せて」「この情報を追加して」と指示を出すための言語です。特定の会社の製品名ではありません。データベースとやり取りするための、共通ルールのようなものだと思ってください。

たとえると、データベースは「全社員が同時に正しく使える、巨大な住所録のエクセル」のようなものです。SQLは、その住所録に向かって「東京在住の人だけ見せて」「この人の電話番号を更新して」と話しかける言葉、というイメージです。

SQLで出来ることは、実は3種類しかない

SQLと聞くと命令の種類が多そうに見えますが、実はやっていることは大きく3つに分類できます。

  • データを検索する・追加する・書き換える・消す(普段の利用で一番よく使う部分です)
  • 表(データの入れ物)そのものを作る・形を変える
  • 誰がそのデータに触れるか、権限を決める
SQLでやっていることは実は3種類だけ(データを動かす/表そのものを扱う/権限を決める)という分類を示す図解
SQLの命令は大きく3種類に分類できる

全部を暗記する必要はありません。「ああ、この3つのどれかをやっているんだな」。それくらいの見分けがつけば、実務では十分です。しかもSQLの命令は、英語の単語に近い形をしています。見た目ほど難しくありません。「SELECT(選ぶ)」「DELETE(消す)」。意味が素直に伝わる単語が多く使われています。

データ・AI領域では、SQLは基礎中の基礎として扱われている

SQLを使う仕事というと、データベースエンジニアやバックエンドエンジニアのような、いかにも技術職らしい職種を思い浮かべるかもしれません。たしかに、そうした職種でも使われます。でも実務では、もっと広い範囲で登場します。

データサイエンティストやデータアナリストは、分析の前段階として、必要なデータをデータベースから取り出し、複数の表を組み合わせて集計しやすい形に整える作業でSQLを使います。マーケティング・企画営業・人事採用のような非エンジニア職でも、「数値を元に施策を考える」「提案の根拠を自分で確認したい」という場面でSQLに触れる人が増えています。つまりSQLは、データを扱う人全員が多かれ少なかれ使う、共通言語のようなポジションになりつつあります。

データ抽出で止まらず、極めるとその先がある

ここまで読むと、SQLは「必要なデータを取り出す道具」という印象が強いかもしれません。実際、現場のエンジニアでも、SQLの使い方がデータ抽出止まりという人は少なくありません。でも、そこから先を知っているかどうか。できることの幅が、かなり変わってきます。

たとえば、単純に数字を抜き出すだけでなく、「先月との差分」「部署ごとの順位」「直近3カ月の移動平均」のような、分析でよく使う計算をデータベース側だけで一気に処理する書き方があります(ウィンドウ関数と呼ばれる機能です)。これができると、ExcelやBIツールに渡す前の段階で、すでに分析に近い形までデータを仕上げられます。

さらに踏み込むと、何百万件・何千万件という規模のデータを、重くならずに素早く取り出すための設計力も問われてきます。同じ処理でも、書き方次第で結果が返ってくるまでの時間が何十倍も変わることがあります。ここを押さえている人は、「データ基盤の設計」そのものを任される側に回っていきます。分析屋が手がけるETL(複数の場所に散らばったデータを、使える形に加工して1カ所にまとめる処理)のような仕事も、突き詰めればSQLの運用力が土台です。

つまりSQLは、「データを見るための道具」で終わる人と、「データが流れる仕組みそのもの」を設計する側に回る人とで、到達できる場所がまったく違います。入り口は同じでも、奥行きはかなり深いスキルです。

採用現場で見えてきた、知らないと損するかもしれない話

ここまでは、SQLの中身と実務での使われ方の話でした。ここからは、分析屋が採用活動を通じて実際に見えてきた話をします。たぶん、競合のSQL解説記事にはなかなか書かれていない部分です。

SQLは、実は履歴書に書かれていないスキルだった

SQLは、PythonやJavaのような「いかにもプログラミング言語」という見た目をしていません。そのせいか、SQLに触れた経験があっても、「これはわざわざ書くほどのスキルじゃない」と自己判断してしまう。履歴書やレジュメに記載しない方が一定数いる、という声を採用現場でよく聞きます。本人にとっては日常業務の一部。でも、棚卸しして「スキル」として言語化する発想に、まだ至っていないケースです。

求人データベースをSQL記載で絞ると、対象者が極端に少なくなる

一方で、データ・AI領域の採用では、SQLは基礎スキルとして重視されます。実際、求人媒体のレジュメデータベースを「SQL記載あり」という条件で絞り込むと、対象者の数がかなり少なくなる。そういう実態があります。採用窓口によっては、この記載の有無を書類選考の初期フィルターとして使っていることもあります。

求人データベースをSQL記載ありで絞り込むと対象者が大幅に減ることを示す図解
「SQL記載あり」で絞り込むと、対象者はかなり少なくなる

つまり、「書類がなかなか通らない」という悩みの背景に、実力ではなく、単に履歴書にSQLという一言を書いていなかっただけ。そんな可能性が隠れていることがあります。もし少しでもSQLに触れた経験があるなら、謙遜せずに書いておくことをおすすめします。そして、これから学ぶ方にとっても、最低限の理解をしておく価値は十分にあると思います。

【分析屋の現場から】会話についていけるだけで、現場は前に進む

データベースの整備が追いついていない現場では、技術者と非技術者の会話がうまく噛み合わないことがあります。分析屋が実際に関わった案件でも、こんな場面がありました。

ある会社では、営業は受注日、経理は請求日でそれぞれ集計していました。同じはずの売上の数字が、部署ごとに食い違っていたのです。原因を探ると、各部署がそれぞれ別のシステムでデータを管理していて、どれが最新の正しいデータなのか誰も把握できていませんでした。技術者側は「データを1カ所に集約して定義を揃えましょう」と提案します。でも現場側は、その提案の意味や影響範囲がうまく掴めません。話が前に進みませんでした。

別の会社では、せっかく導入したBIツール(データを見やすく可視化するための道具)があるのに、現場の人は使い方が分かりません。結局、いつも通りExcelで集計していました。必要なデータをデータベースから直接取り出せる人が、その場にいない。「欲しい数字がすぐ出せない」という状態が続いていたのです。

どちらのケースでも、現場を前に進めたのは、SQLを使いこなせる技術者だけではありませんでした。技術者の提案の意図を理解し、現場の事情を技術者に翻訳して伝えられる人がいたこと。それで、ようやく話がかみ合い始めました。SQLを全部書けなくてもいい。何が行われようとしているか、会話についていけるだけで、現場の停滞は動き出します。

ただし、分析屋はSQL記載の有無だけでは見ていません

ここまで、SQLを学ぶ意味についてかなり前のめりに書いてきました。ただ、誤解してほしくないので、分析屋自身の採用方針もお伝えしておきます。

分析屋の書類選考では、SQLという単語が履歴書にあるかどうかだけで判断することはありません。見ているのは、曖昧な物事を整理してきた経験です。顧客との折衝、部署間の調整、要件がはっきりしない案件をどう前に進めたか。そうした経験は、SQLの記載の有無よりもずっと雄弁に、その人がデータの仕事に向いているかを語ってくれます。

SQLが書けるかどうかだけで評価が決まることはない。これは婉曲にせず言っておきます。SQLの理解はたしかに武器になりますが、武器の一つでしかありません。

よくある質問

Q. SQLを履歴書に書けるレベルって、どのくらいからですか?
業務でSELECT文(データを検索する命令)を使って必要な情報を取り出した経験があれば、十分に書く価値があります。日常的に使っていたことを、棚卸しして言葉にしてみてください。

Q. 折衝・調整の経験しかなくても、データ系の仕事を目指せますか?
目指せます。分析屋には、営業や企画、事務出身のメンバーも多く在籍しており、技術は入社後の研修で身につけています。曖昧な要望を整理し、関係者の認識を揃えてきた経験は、データの仕事でもそのまま強みになります。

未経験からどう学び始める?

分析屋では、入社時の研修としてSQL研修を用意しています。環境構築から基礎・応用まで、実際に社内で担当した案件をもとにした問題で学べるため、実践に直結しやすい内容になっています。ボリュームは多めで難易度も決して低くはありませんが、研修を受けてSQLを使う案件にアサインされたメンバーからは、「あの研修があったからこそ、スムーズに業務を行うことができています」という声も届いています。

独学で始めたい場合は、まず手を動かしながら学べるオンライン学習サービス(Progateなど)で基本構文に触れてみるのがおすすめです。構文を覚えること自体より、「どんな場面でこの命令を使うのか」を意識しながら進めると、実務の感覚がつかみやすくなります。

SQLと合わせてよく話題になる職種の違いについては、データサイエンティストとデータアナリストの違いで詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。

まとめ:学ぶ意味は、思っている以上にある

SQLを学ぶ意味は、「ある」と思います。実務での重要性はもちろんです。でも、履歴書に書かれにくいスキルだからこそ、書くだけで他の候補者と差がつく場面がある。これも事実です。

ただし、分析屋のような会社では、SQLの記載の有無だけで人を見ているわけではありません。曖昧な物事を整理してきた経験、関係者の間を取り持ってきた経験のほうを、むしろ重視しています。

技術を極めることだけが正解ではありません。SQLへの最初の一歩と、これまで培ってきた調整力や傾聴力を組み合わせたとき、データの仕事での自分の立ち位置が見えてくるはずです。分析屋の採用サイトでは、そうした人材を積極的に歓迎しています。

エントリーはこちら

  1. トップページ
  2. 仕事を知る
  3. SQLを学ぶ意味、本当にある?採用現場で見えてきたリアルな話

採用情報

方法や手段にとらわれず、課題解決に挑むことができる仲間を募集します。
「好奇心」と「向上心」をお持ちの方をお待ちしております。

NEWS

もっと見る