地方創生に関わりたい。
そんな思いから、データ分析の世界に飛び込んだ。
入社後は、行政系のリサーチ案件、マーケティング、採用、新卒教育、そして現在は組織開発へ。
こう並べると、ずいぶんあちこちに寄り道してきたように見える。けれど、本人にとってはそうでもないらしい。
「地域に熱を吹き込みたいと思っていたのが、今は人や組織に変わっただけなのかもしれません」
人の中にあるものを引き出す。
止まっているものを、もう一度動かす。
やっていることは、意外なほど変わっていなかった。
そして、そのときどきで生まれた「やってみたい」を、分析屋という会社はあまり止めなかった。
新卒1年目でも、会社に「それ、イケていないと思います」と言えた。
言ったら、仕事になった。
その9年間をたどると、分析屋という会社の少し変わったところが見えてくる。
満員電車も、会社の歯車になるのも嫌だった。
新卒で分析屋を選んだ理由を教えてください。
大学では観光や地方創生について研究していました。地域を元気にするために、もっとデータを使えるんじゃないかと思ったのが、データ分析に興味を持ったきっかけです。
当時は今ほどデータ分析を事業にしている会社も多くなくて、その中で地方創生やライフサイエンスのような領域まで扱っていた分析屋を見つけて、「ここだ」と思いました。
でも、今振り返ると事業だけで決めたわけでもなかったですね。
私、“都会のバリキャリ”みたいな働き方に、まったく憧れがなかったんです。
満員電車に乗って、人がたくさんいる場所で働いて、大きな会社の歯車の一つになる。
完全に当時の私のイメージですけど、「そういう生活だけは嫌だ」と思っていました。
競争することも、あまり好きじゃないんです。
勉強したり、自分が好きなことを突き詰めたりして、「ここでは一番になりたい」と思うことはある。でも、人と数字を競ったり、社内政治の中で勝ったりすることにはあまり興味がない。
それよりも、人の温度が感じられる場所で、自分の意思を持って働きたかった。
当時の代表も、「藤沢で、みんながのびのび働ける会社にしたい」というような話をしていて。
IT企業なのに「おもてなし」を掲げていることも含めて、無機質じゃない感じがしたんですよね。
新卒1年目で、「この説明会、イケてないです」。
入社後は、最初から人事の仕事にも関わっていたんですか?
そうですね。1年目からです。
当時は今以上に、「この部署だからこの仕事だけ」という境界線が曖昧な会社でした。
採用に興味があると言ったら、
「いいじゃん。人も足りないし、面接官やってよ」
みたいなノリで(笑)。
それで説明会などにも関わるようになったんですけど、私は数か月前まで学生だったので、学生側の感覚がまだ残っていたんですよね。
だから、
「これ、学生には刺さらないですよ」
「説明会資料、変えた方がいいと思います」
みたいなことを普通に言っていました。
今考えると、新卒1年目でよく言ったなと思います(笑)。
そこで「新人が口を出すな」とはならなかったんですか?
ならなかったですね。
もちろん、会社として大事にしている考え方については、「そこは変えない」と言われることもありました。
でも、見せ方については「そういうところを見ているんだね」と、ちゃんと意見として扱ってもらえた。しかも、その先を任せてもらえたんです。
私はあの経験がすごく大きかったです。
入ったばかりの自分でも、「ここはイケていない」と言える。
しかも、言ったら仕事が回ってくる。
そこで初めて、
「あ、私ちゃんと働いてるな」
という感じがしたんですよね。
分析屋って、十分に経験を積んでから意見を言う会社というより、意見を言った人に、経験する機会が回ってくる会社なのかもしれません。
昔から、「できない理由を考えるより、やる方法を考える」という空気もありました。
「若手だから」
「前例がないから」
「自分の仕事じゃないから」
で終わるより、
「やるなら、どうやったらできる?」
と考える。
会社が大きくなった今も、そういうボトムアップなところは分析屋らしさとして残っていると思います。
最初に覚えたのは、「分析すること」より「何を解決するのか」だった。
人事以外では、どんな仕事を経験してきたんですか?
マーケティングやリサーチの仕事をしていました。
先輩の指導のもと、お客様へのヒアリングから、調査設計、集計、分析まで一通り経験させていただきました。行政に関わる案件も多かったですね。
データを渡されて、それを分析して終わりではありません。
そもそもお客様が何を知りたいのか。
そのためには何を調べる必要があるのか。
結果から何が言えて、その後どう動くべきなのか。
そこまで考える仕事でした。
分析屋って、名前だけを見ると「データを分析する人たちの会社」に見えると思うんです。
もちろん、統計が強い人も、エンジニアリングが強い人もいます。でも昔から、それだけではなかった。
統計が強い人、エンジニアリングが強い人、ビジネス側が強い人。
それぞれ違う武器を持った人を組み合わせて、お客様の課題に合わせてチームをつくる。「チームデータサイエンティスト」という考え方もありました。
一人ですべてできる人をつくるというより、違う強みを持つ人たちで顧客の課題を解く。
そこは昔から分析屋らしいところだと思っています。
当時、特に影響を受けた人はいますか?
もう退職された先輩ですが、とても影響を受けました。
行政系の案件を一緒にやっていて、リサーチもできるし、集計・分析もできる。その先のお客様との会話もできる人でした。
特に印象に残っているのが、ずっと、
「お客様は結局、何を解決したいんだろう」
と考えていたことです。
最初に要件を聞いて、それをそのまま最後までやるわけじゃない。
プロジェクトの途中でも、
「この方向で本当にいいんだっけ?」
と考える。
違うと思ったら、お客様に電話して、
「今こう進めていますけど、こっちに変えた方が良くないですか?」
と提案する。
こういったことをきっかけに、もともとの要件が変わることもあるんです。
でも、やる。
私は当時、
「ITの仕事って、決められたものを決められた通りにつくる仕事じゃないんだ」
と結構衝撃を受けました。
要件通りにアウトプットを出して終わるのではなく、**最後までお客様のアウトカムを考える。
「これがビジネスでいう“おもてなし”なんだ」と、先輩を見て初めて理解した気がします。
そういう仕事の仕方は、研修などで教わったんですか?
いや、先輩は完全に「背中を見て覚えろ」タイプでした(笑)。
何でも丁寧に教えてくれるわけじゃない。
だから当時は、
「すごいのは分かる。でも、どうやったらそこまで行けるんだ」
と思っていました(笑)。
でも、近くにそういう人がいたこと自体は大きかったですね。
打ち合わせのたびに、
「ここまで考えるんだ」
「ここで聞き直すんだ」
「途中でも軌道修正していいんだ」
と見る。
研修で一度教わるよりも、仕事の基準そのものを、日常の中で覚えていった感覚があります。
分析屋には昔から、いわゆる“エンジニア”という言葉だけでは収まらない人が結構いたと思います。
技術を使えるだけではなく、お客様と話して、課題を整理して、必要なら提案そのものを変えていく。
今で言えば、「エンジニアリングも分かるコンサルタント」に近いのかもしれません。
最近、それを改めて実感した出来事もありました。
今、夫が自治体のまちづくりに関わる仕事をしているんです。
家で地域の話をしていて、昔やっていた行政案件を思い出しながら、
「こういうときって、まず調査して、本当の問題がどこにあるのかを見た方がいいんじゃない?」
「最初に言われた課題を、そのまま課題だと思わない方がいいんじゃない?」
と話したことがあって。
そしたら、
「そう! 外部の人には、そういう提案をしてほしいんだよ」
と言われたんです(笑)。
私はほとんど先輩の受け売りなんですけど。
でもそのときに、
「あの仕事の仕方って、やっぱり価値があるんだ」
と改めて思いました。
Pythonが使える。
SQLが書ける。
分析ができる。
それももちろん大切です。
でもその技術を持ったうえで、
「そもそも、何に困っているんですか?」
から一緒に考えられる。
分析屋で伸びている人も、そういう人が多い印象があります。
「うまい分析を出したか」だけではなく、
「結局、誰の何を良くしたのか」
まで考えられる人ですね。

地方創生を目指していた私が、今は組織に“熱”を入れている。
以前は「いろいろな経験から、自分だけの武器をつくりたい」と話していました。今、その武器は見つかりましたか?
昔の自分、いいこと言っていますね(笑)。
今振り返ると、少し分かってきた気がします。
私は最初、リサーチやマーケティングの仕事をしていました。お客様の話を聞いて、調査して、情報を集めて、分析して、「今こういう状態ですよ」と見えるようにする。
そこから採用、新卒教育へ行って、今は組織開発を担当しています。
今の仕事では、マネージャーの役割を整理したり、1on1をどう良くするか考えたり、社員同士が助け合えるつながりをつくったり。
「どうすれば社員がもっと動きやすくなるのか」を考えています。
一見すると、データ分析とはまったく違う仕事に見えます。
でも採用って、求職者に対するマーケティングだと思うんです。組織開発も、社員に対するマーケティングに近い。
現場の声を聞く。
情報を集める。
今どういう状態なのかを整理する。
そこから「じゃあ、どう変えていくか」を考える。
そう考えると、昔やっていたリサーチや分析も、今の仕事に全部つながっています。
地方創生をやりたくて入社したのに、どうして組織開発にたどり着いたんでしょう?
最近、自分でもそこを考えたんです。
地方創生って、元気がなくなっている地域に、もう一度熱や息吹を入れるような仕事だと思っていました。
私、昔から無機質なものがあまり好きじゃないんですよ。
その場所にいる人の本音を引き出したり、その人が持っているものを表に出したりして、何かが動き始める瞬間が好きなんだと思います。
そう考えると、私はやりたいことを変えたわけじゃないのかもしれない。
対象が「地域」から「人」や「組織」に変わっただけ。
今は、社員同士をつないだり、マネジメントの仕組みを考えたり、組織の中で眠っているものにもう一度熱を入れる仕事をしています。
大学生のころ想像していたキャリアとは全然違います。でも、根っこにあるものは意外と同じだったんですよね。
分析屋でいろいろな仕事を経験した結果、「自分は何の職種なのか」より先に、「自分は何に熱くなる人なのか」が見えてきたのかもしれません。
キャリアに自分を押し込めなくてもいい。
新卒や転職を考えている人にとって、分析屋はどんな会社だと思いますか?
自分のキャリアを、自分でつくっていきたい人には面白い会社だと思います。
分析屋にも、データサイエンティスト、データエンジニア、AIエンジニアなど、もちろん職種はあります。
職種やキャリアパスが明確に決まっていることにも、良さはあると思うんです。「ここを目指せばいい」と分かりやすいし、何を身につければいいかも考えやすい。
ただ、その枠に自分を合わせすぎると、もともと持っていた個性や強みが削られてしまうこともある気がしています。
「私はデータサイエンティストだから、これはやらない」
「エンジニアだから、お客様との話は別の人に任せる」
と決めてしまうより、
「自分は何が得意なんだろう」
「この課題に対して、自分なら何ができるんだろう」
と考えながら、自分を広げていく。
分析屋は、そういう成長の仕方がしやすい会社だと思います。
私自身、地方創生をやりたくて入社して、リサーチをやって、マーケティングをやって、採用をやって、今は組織開発をしています。
最初から「こういうキャリアにする」と計画していたわけではありません。
そのときに興味を持ったことや、「ここ、もっと良くできるんじゃない?」と思ったことに手を挙げていたら、後から自分なりのキャリアになっていました。
だから私は、既にあるキャリアに自分を当てはめるというより、キャリアの枠に収まりきらない自分を育てていくくらいでもいいんじゃないかと思っています。
今は特に、変化がすごく速いですよね。
そもそも職種というものも、その時代に市場から必要とされたから生まれたものだと思うんです。必要とされるものが変われば、仕事の中身も変わる。
今まさにAIによって、大きく仕事内容が変わり始めている職種もあります。
そう考えると、
「この職種になれば、この先ずっと安心」
という考え方の方が、むしろ少し危ないのかもしれません。
職種名は変わっても、
お客様の本当の課題を見つける。
必要な技術を学ぶ。
人を巻き込む。
自分なりの強みを掛け合わせて、成果につなげる。
そういう力は残ると思うんです。
分析屋で育てられるのも、たぶんそういう「職種名が変わっても使える自分」なんじゃないかなと思っています。
もちろん、会社が全部用意してくれるわけではありません。むしろ、自分から言わないと始まらないことも多い。
でも、
「これをやってみたい」
「ここをもっと良くしたい」
と声に出したとき、その熱を簡単には潰さない会社ではあります。
私自身、それを9年間経験してきました。
歯車になるのも、誰かと競争するのも、今でもそんなに好きじゃない。
でも、自分が「やりたい」と思ったことには、ちゃんと熱くなれる。
そんな人にとっては、結構面白い会社なんじゃないでしょうか。