
近年、ビッグデータの活用、DX化を推進する企業が増えたことにより、データサイエンティストの需要が高まっています。転職市場でも需要が大きくなっており、データサイエンティストへの転職を検討している方も多いのではないでしょうか。
特に30代未経験から転職を考えている方は、
「30代だけど、未経験からデータサイエンティストになれるの?」
「データサイエンティストの仕事内容って?」
など、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、30代未経験からデータサイエンティストを目指すことは可能なのか、データサイエンティストの仕事内容や必要なスキルなどを解説していきます。
30代未経験からのデータサイエンティストへの転職は可能なのか?

結論から言うと、30代未経験でもデータサイエンティストへの転職は可能です。
ビックデータの需要拡大や、未経験でも活かせる経験やスキルがあるのもデータサイエンティストの特徴の一つ。
この記事を執筆している私も、30代未経験からデータサイエンティストの一人です。未経験でもデータサイエンティストに転職できるその理由について、私の体験談も踏まえて解説していきます。
世界的にビッグデータの需要が拡大している
近年、IoT技術やAI技術の発展により、企業が扱うデータ量は爆発的に増加しています。企業はこれらのビッグデータを分析し、マーケティングや業務改善に活用することが求められています。そのため、データ分析の専門家であるデータサイエンティストの需要は非常に高いと言えるでしょう。
30代はこれまでの経験を活かせる
30代の方は、社会人として一定の経験を積んでおり、特定の業界や職種に関するドメイン知識(専門知識)を持っている方が多いでしょう。データサイエンティストは、データ分析のスキルだけでなく、分析対象となるデータが持つ意味を理解するドメイン知識も必要とされます。そのため、30代の方がこれまで培ってきたドメイン知識は、データサイエンティストとして活躍するための強みになります。
またデータサイエンティストは他のエンジニアとは異なり、ビジネスサイド(営業部やマーケティング部など)との会議や、認識のすり合わせを行うことが多い職種です。これまで培ってきた交渉力、取りまとめる力は、データサイエンティストとして求められる大切なスキルになります。
必要なスキルを習得すれば未経験でも可能
サイエンティストになるために必要なスキルは多岐にわたりますが、着実に学習を進めることで、未経験からでも十分に習得可能です。
必要なスキルについては後述の「未経験からデータサイエンティストに必要な勉強や有利な資格」や「データサイエンティストに求められるスキル」で詳しく解説します。
データサイエンティストへの転職に年齢制限はない
「データサイエンティストは専門性が高い仕事だから、若い人の方が有利なのでは?」
「30代未経験だと、転職は難しいのでは?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、データサイエンティストへの転職において、年齢が不利になることはありません。
求人募集で年齢制限は禁止されている
雇用対策法により、企業は求人募集の際に年齢制限を設けることが原則として禁止されています。そのため、30代だからといって、データサイエンティストへの応募を諦める必要はありません。
参考URL:募集・採用における年齢制限禁止について(厚生労働省公式サイト)
データサイエンティストを募集する企業は増加傾向にある
上述したように、ビッグデータ活用ニーズの高まりに伴い、データサイエンティストの需要は増加しています。多くの企業がデータサイエンティストの採用に力を入れており、30代未経験者にも門戸が開かれている状況です。
また、データサイエンティストは比較的新しい職種なので、未経験でも潜在能力を持つ人材を対象としたポテンシャル採用が活発に行われています。
参考URL:職業情報提供サイト jobtagIT人材育成の状況等について(経済産業省)
これまでの職業経験が活かせる
30代の方がこれまで培ってきた経験は、データサイエンティストの仕事に活かせることがあります。
前項でも紹介しましたが、これまでに培ってきたドメイン知識は、取得に時間がかかるものなので、未経験でもドメイン知識があることで採用につながるケースもあります。
例えば、営業職であれば顧客データ分析や売上予測、マーケティング職であれば市場調査や効果測定などの経験は、データ分析の業務に役立つでしょう。
ちなみに弊社分析屋の半数はIT業界未経験者。元営業・マーケター・総務・事務・会計・生産管理・人事・教師などドメイン知識を武器にご入社・ご活躍されています。
未経験からデータサイエンティストに必要な勉強や有利な資格

未経験からデータサイエンティストを目指す場合、以下の知識やスキルを習得する必要があります。
数学や統計の基礎知識
データ分析の基礎となるのが、数学や統計の知識です。平均値、中央値、標準偏差などの基本的な統計量の計算方法や、確率分布、仮説検定などの統計学の知識は、データ分析を行う上で必要になります。
高度な統計手法の知識を取得するより、基礎的な用語や考えかたを重点的に学習するほうが重要です。実際の業務では、ライブラリーなど統計的な計算がパッケージ化されたものを使用するケースが多いので、ライブラリーがどういった計算手法で動いているのかを理解できる程度の知識があることが理想です。
SQL、Python
SQLは、データベースにアクセスしてデータを抽出・加工するための言語です。Pythonは、データ分析でよく使われるプログラミング言語で、データの前処理、分析、可視化など、幅広い用途に利用できます。
データ分析に欠かせない、ビッグデータからのデータ抽出は、この2つの言語で行うことが一般的です。実際の業務では、複雑な条件からの抽出となるケースが多いですが、まずはそれぞれの言語の特徴や基本的な操作を学習していく事がオススメです。
関連資格の取得
資格取得は必須ではありませんが、客観的なスキル証明となり、就職活動で有利になることがあります。データサイエンティストは、技術のアップデートやトレンドの移り変わりが激しいので、継続して勉強して知識をキャッチアップしていく事が求められます。
資格の取得を通じて、自己学習ができることをアピールすることも、就職活動では有利になりやすいです。
データサイエンティスト関連の資格としては、次の3つが代表的な資格試験です。
- 統計検定:統計に関する知識や活用力を評価する資格
https://www.toukei-kentei.jp/ - Python 3 エンジニア認定データ分析試験:Pythonを使ったデータ分析スキルを認定する資格
https://www.pythonic-exam.com/exam/analyist - 基本情報技術者試験:ITに関連する基本的な知識・技術を身につけていることの証明する国家資格
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html
※ITパスポートでも可
このほかにも、データサイエンティスト検定(通称DS検定)や、ベンダー試験(AWS、GCP、オラクルなど)も候補になりますが、これらの試験は、先に上げた3つの試験内容を知っていることを前提にしているものが多いため、未経験から資格取得を目指すなら、統計検定・Python3・基本情報技術者試験の3つの試験から取り組んでもらうのがいいです。
データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンティストには、大きく分けて「ビジネススキル」「データサイエンススキル」「データエンジニアリングスキル」の3つのスキルが求められます。また、AI技術の進歩により、AIを活用するスキルも求められてきています。
ビジネススキル
データ分析の結果を、企業の意思決定に活かすためには、ビジネス視点を持つことが求められます。
具体的には、
- コミュニケーション能力:分析結果を分かりやすく説明する能力や、関係者と円滑に連携する能力
- プレゼンテーション能力:分析結果を効果的に伝える能力
- 課題解決能力:データ分析を通じて、企業の課題を解決する能力
- 論理的思考力:物事を論理的に考え、分析する能力
データサイエンティストは、ビジネスサイドとのつながりの強い職種なので、ドメイン知識と合わせて求められます。また、データサイエンティストはIT職種であるため、エンジニア畑でキャリアを積まれてきた方の方が有利な印象がありますが、未経験でもビジネススキルのある方は需要が高いことも事実です。
データサイエンススキル
データサイエンティストとして、データ分析を行うためのスキルです。
- 統計学:データの傾向や性質を把握し、適切な分析手法を選択するための知識
- 機械学習:データからパターンやルールを学習し、予測や分類を行うための技術
- データ可視化:分析結果を分かりやすく表現するためのスキル
抽出したデータを分析し、解決したい課題に対して提案や改善を行っていく事が求められます。分析の手法だけでなく、解決したい課題は何か、それに対する適切なアプローチは何かを考えていく力も大切になります。
データエンジニアリングスキル
データを収集・蓄積・加工するためのスキルです。
- データベース:データを効率的に管理するための知識
- ETL:データを抽出・変換・格納するための技術
- クラウド技術:クラウド上でデータ基盤を構築・運用するための知識
データを活用するためのデータウェアハウスやデータマートを構築していくために必要なスキルです。未経験の方からはなかなか想像しづらいスキルですが、データを活用していくのには必要不可欠な工程です。データ活用が求められる最近で、需要も高いスキルになります。
AI活用スキル
AI技術は、データ分析の現場で広く活用されています。データサイエンティストは、AIの基本的な知識や、AIモデルを構築・活用するスキルが求められる場面も多いでしょう。
AI技術の活用もさることながら、生成AIを活用していくスキルも求められています。新しいトレンドを積極的に取り入れていく事も求められます。
データサイエンティストに関係する職種
データサイエンティストと混同されやすい職種として、データアナリストやデータエンジニアがあります。それぞれの職種の特徴を解説します。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、統計学や機械学習などの専門知識を駆使して、データからビジネス上の課題解決に役立つ知見を引き出す仕事です。データ分析だけでなく、課題設定や分析結果の活用まで一貫して担当します。
データアナリスト
データエンジニアは、データ分析基盤の設計・構築・運用を行う仕事です。データサイエンティストやデータアナリストが分析しやすいように、データを収集・蓄積・加工する仕組みを構築します。
その他
データサイエンティスト以外にも、データに関わる職種は多数存在します。
例えば、機械学習やディープラーニングなどの技術を用いて、AIシステムを開発するAIエンジニアや、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを用いて、企業の意思決定を支援するBIエンジニアなど多くの職種があります。データサイエンティストは、領域がかなり広い職種になるので今後も職種の細分化は進む可能性があります。
未経験からデータサイエンティストになるには

未経験からデータサイエンティストを目指す場合、どのような方法があるのでしょうか。具体的な方法や注意点を解説します。
未経験からデータサイエンティストになる方法
未経験からデータサイエンティストになるための主な方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 独学でスキルを習得する
書籍やオンライン講座などを活用して、必要な知識やスキルを独学で習得する方法です。費用を抑えられますが、モチベーション維持や情報収集に課題があります。 - スクールに通う
専門のスクールに通い、体系的に知識やスキルを習得する方法です。費用はかかりますが、講師のサポートを受けながら効率的に学習を進められます。 - 未経験者向けの研修制度がある企業に就職する
未経験者向けの研修制度が充実している企業に就職し、実務を通してスキルを習得する方法です。給与をもらいながら学べる点がメリットですが、研修制度がある企業は限られます。
未経験でデータサイエンティストを募集している企業の多くは、入社後の研修を設けている場合が多いですが、転職前に自己学習しておくことをオススメします。
私は、データサイエンティストに転職すると決めたタイミングから自己学習を行いはじめました。具体的には、学習サイトと書籍、ITパスポートの資格取得の3つを行いましたが、どれもやっておいて損はなかったなと感じています。
実際に使用した、書籍、サイトがこちらになるのでよければ参考にしてみてください。
<書籍>
- スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!
https://amzn.asia/d/bNWoTdi
⇒ SQLとは何か、基本的な構文を理解するのに役立ちました。 - スッキリわかるPython入門 第2版
https://amzn.asia/d/1fQ0SrH
⇒ Pythonを基礎から学べる良書。WEBサイトと併用することで実際にコードを書きながら学ぶことができます。 - 【令和7年度】 いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
https://amzn.asia/d/gD0iqdt
⇒ITパスポートの参考書で、非常にわかりやすかったです。これ一冊をやり込むことで資格取得できました。
<学習サイト>
- Progate
https://prog-8.com/
⇒書籍で学んだことを実際にコードを書きながら復習できるのがよかったです。無料の範囲でも十分役立ちます。
未経験でもデータサイエンティストに挑戦しやすい人物像とは
以下のような特徴を持つ人は、未経験からでもデータサイエンティストとして活躍できる可能性が高いと言えます。
- 知的好奇心が旺盛な人:常に新しい知識や技術を学び続ける意欲がある
- 論理的思考力がある人:物事を論理的に考え、分析できる
- コミュニケーション能力が高い人:分析結果を分かりやすく説明し、関係者と円滑に連携できる
- 課題解決能力が高い人:データ分析を通じて、企業の課題を解決したいという意欲がある
データサイエンティストはビジネススキルが求められる職種なので、営業やマーケティングなどの部署で働いた経験や、データ活用が進んでいる業種のドメイン知識がある場合なども、培った経験が活かしやすく挑戦しやすいです。
未経験から目指す際の注意点
未経験からデータサイエンティストを目指す場合、以下の点に注意が必要です。
- 学習時間の確保:データサイエンティストになるためには、一定の学習時間が必要です。仕事やプライベートとの両立を考慮し、計画的に学習を進める必要があります。
- 情報収集:データサイエンティストに関する情報は日々更新されています。常に最新の情報を収集し、学習内容やキャリアプランをアップデートしていくことが重要です。
自己学習や、情報収集など自ら動いて知識の習得や収集をしていく事がデータサイエンティストには求められるので、能動的な方が向いています。逆に、受動的な方には、向かない職種であるように感じます。
まとめ
30代未経験からでも、データサイエンティストになることは十分に可能です。これまでエンジニアとしてのご経験を積まれていなくても、培ってきたドメイン知識は大きな武器になります。
データサイエンティストは、高い専門性と将来性を持つ魅力的な仕事です。この記事を参考に、データサイエンティストへの転職を検討してみてはいかがでしょうか。
分析屋の紹介
分析屋は、「データ分析」と「おもてなし」を融合させた「おもてなし分析」を提供するデータ分析集団です。
「おもてなし分析」によって、合理 (データ・ロジック) と 情理 (経験則・直感・想い・事情など) が共存し合う、合理一辺倒ではない成熟した社会の実現を目指しています。
データサイエンティストとして、お客様のビジネス成長に貢献したい方は、ぜひ株式会社分析屋の採用情報をご覧ください。分析屋では、30代未経験の方もデータサイエンティストとして活躍できる道をご用意しています。
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