データサイエンティストが習得すべきプログラミング言語

本記事ではデータサイエンティストが学ぶべきプログラミング言語について紹介します。 データサイエンティストについて調べると、PythonやR、SQL等、様々なプログラミング言語が登場します。 これらのプログラミング言語がどのような特徴を持っており、どのように使い分けられているのか気になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では以下の内容で皆様の疑問に答えます。

  • どのような業務でプログラミング言語を使用する必要があるのか
  • データサイエンティストに必要なプログラミング言語について
  • 現役データサイエンティストに聞いたオススメの勉強方法

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、企業が持つ様々なデータを分析し、その結果をビジネスの意思決定や課題解決に活用する職種です。データサイエンティストの業務は単にデータを集計・分析するだけでなく、経営やビジネスの観点からデータを解釈し、新たな価値を生み出すことが求められます。

より詳細な内容を知りたい場合は以下の記事がオススメです。

データサイエンティストとは?仕事内容や求められるスキルを解説

データサイエンティストがプログラミング言語を必要とする場面とは?

データサイエンティストの業務において、プログラミング言語は必要不可欠なツールです。特に、「データの収集と前処理」および「データ分析」のプロセスにおいて、プログラミング言語は重要な役割を果たします。「データの収集と前処理」および「データ分析」の具体的な内容は以下のとおりです。

データの収集と前処理

  • Webスクレイピング: Webサイトからデータを抽出する
  • データベース操作: SQLを用いてデータベースからデータを抽出、加工する
  • データ形式の変換: CSV、Excelなど異なる形式のデータを扱う
  • 欠損値や異常値の処理: データの品質を高める

データ分析

  • 統計解析: データの傾向や相関関係を分析する
  • 機械学習: 予測モデルや分類モデルを構築する
  • データ可視化: グラフやチャートを作成し、分析結果を分かりやすく表現する
  • テキストマイニング: 自然言語処理を用いて文章データを分析する。

データサイエンティストに必要なプログラミング言語とは

ここではデータサイエンティストの多くが使用するプログラミング言語を3つ紹介します。
また、各プログラミング言語の用途、メリット・デメリットを以下の表にまとめました。

言語用途メリットデメリット
Python•統計解析・機械学習
•AI開発
•Webアプリケーション開発
•自動化
など多岐にわたる
•汎用性が高く多様な用途に利用可能
•学習リソースが豊富で比較的学習しやすい
•ビッグデータ解析やAI開発に適している
•求人数が多い
•データ分析に特化しているわけではないためR言語に比べると学ぶ項目が多い場合がある
•C++などに比べると実行速度が遅い場合がある
•開発環境の設定やデバッグ作業がやや複雑になることがある
R•統計解析・機械学習
•データの可視化
•テキストマイニング
•統計解析に特化しており
高度な統計分析やデータ出力が容易
•データの可視化に優れている
•統計解析分野においてシンプルな記述が可能
•RStudioというレポーティングに秀でる
エディタが存在する
•汎用性が低くデータ分析以外の用途には不向き
•ビッグデータ解析にはメモリを大きく消費する傾向がある
•独特の文法やデータ操作方法に時間を要する場合がある
•処理速度がPythonより遅い場合がある
•Pythonに比べて求人数が少ない
SQL•データーベース操作
•データ前処理
•データアクセスと操作に不可欠
•リレーショナルデータベースにおける標準言語
•分析に必要なデータの抽出に不可欠
•クリーンで整理されたデータでの作業が可能
•高度な統計分析や機械学習を直接行うこと得意ではない

Python

Pythonはデータサイエンティストが最もよく使うプログラミング言語と言っても過言ではありません。
特徴は以下のとおりです。

シンプルかつ整理された記法

他のプログラミング言語よりも文法がシンプルで可読性が高いと言われています。また、インデントがプログラムの実行順序に重要な意味を与えます。そのため、プログラムが構造化され、初心者にも理解しやすいプログラムが書かれやすいです。

データ分析、機械学習に関連するライブラリが豊富

データ分析、機械学習、データ可視化など、データサイエンスに必要な機能が豊富に揃っています。

  • 数値計算: NumPy, Numba
  • データ前処理: Pandas, polars
  • データ可視化: Matplotlib, Seaborn
  • 統計解析: Statsmodels
  • 機械学習: Scikit-Learn
  • 深層学習: TensorFlow, PyTorch

同じ用途でも複数のライブラリが存在しています。
データサイエンティストは業務の内容に合わせて最適なライブラリを選択しています。

様々な用途で使用可能な汎用性の高さ

データ分析以外のWebアプリケーション開発や自動化処理など、様々な用途に利用可能です。

  • Web開発: Flask, Django, FastAPI
  • スクレイピング: Selenium, Beautiful Soup

他にもテストの自動化やゲーム開発を目的としたライブラリが存在します。

コミュニティが活発で実装例やエラーの情報が多い

ユーザーが多く、オンライン上で多くの実装参考例やトラブルシューティングの情報を得られます。
そのため、自分と同じ悩みを抱えた人のトラブルシューティングのQ&Aや解決方法の記事を探すことが可能です。

R

Rは特に社会科学系の分野やアカデミックの世界で利用されることが多いプログラミング言語です。
特徴は以下のとおりです。

統計解析とデータの可視化に特化

Rには「Tidyverse」という代表的なデータサイエンス系パッケージコレクションが存在します。この中でも以下のパッケージが有名です。

  • データの読み込み: readr
    readrはCSVファイルやTSVファイルのような矩形構造のデータを読み込むパッケージです。
    Rユーザーの多くはデータを読み込む際はreadrから始めます。
  • データの前処理: dplyr
    dplyrはデータ操作を行うためのパッケージです。dplyrが提供する「パイプ演算子」が特徴的で、データ操作をする際のメモリ効率を最適化してくれます。
  • データの集計: tidyr
    tidyrはdplyrで綺麗にデータを整理した後に使われるパッケージです。
    簡単な記述でデータの集計を実現します。
  • データの可視化: ggplot2
    ggplot2はdplyrやtidyrでデータ操作・集計をした結果を可視化するパッケージです。
    初期設定の状態でも綺麗なレイアウトを提供しており、可読性の高いコードでプログラムを記述できます。

レポーティング業務が効率的になる

RにはRStudioというエディターが存在します。RStudioではエンジニアがよく利用するMarkdown方式で文章を書きながら、Rのコードを記述・実行でき、HTMLやPDF、Wordにも実行結果を出力できます。そのため、レポーティングを行いながら統計解析を行うことができ、効率的に業務を進められます。

大学教授が自身の講義用にまとめたオリジナルの教材が存在する

Rはアカデミックの世界で多く利用されることから、教授のゼミ生や自身の講義用に資料を作成し、インターネット上で公開していることがあります。そのため、統計解析について学びながらRのコードを無料で学ぶことも可能です。

SQL

SQLはデータベースの操作を行うプログラミング言語です。RやPythonとは違って、単体で高度な統計解析や機械学習を提供していません。しかし、データ分析に必要不可欠なデータを取得するために必須のプログラミング言語です。
特徴は以下のとおりです。

リレーショナルデータベース操作の標準言語

リレーショナルデータベース(Relational Database / RDB)とは表形式のデータを効率的に操作することを可能にしたデータベースです。SQLはデータの検索、抽出、挿入、更新、削除といったデータベース操作を行うために使用されます。

効率的なデータ取得

もし、Excelで数万行のデータを使用するとなれば、何万行もスクロールすることや、フィルター機能を使うなどの手動操作を何回も行う必要があります。しかし、SQLであればどんなに大きなデータでも一度の命令で処理することが可能です。また、同じプログラムを用いれば同じ処理結果を得られます。

データ分析における重要性が高い

大規模なデータやセキュリティレベルの高いデータを使用してデータ分析を行う際、csvファイルでデータの受け渡しができない場合があります。その場合、必要なデータをお客様のデータベースから抽出することになります。そのため、SQLを書けないと業務が始められません。

最初に勉強するならどの言語?

データサイエンティストを目指す人が最初に勉強するのはPythonがオススメです。
その理由は、Pythonの特徴で説明したとおり、

  • シンプルかつ整理された記法
  • データ分析、機械学習に関連するライブラリが豊富
  • 様々な用途で使用可能な汎用性の高さ
  • コミュニティが活発で実装例やエラーの情報が多い

といったデータサイエンスに必要な要素や初心者が勉強をしやすい環境を備えているからです。

Pythonでデータ分析を学ぶには: 分析屋社員がオススメする勉強法

今回は分析屋社員がオススメする「Pythonでデータ分析ができるようになる」ための勉強法を紹介します。(統計の知識がある程度あることが前提になります。)

1. まずはデータ分析とPythonの書き方を一緒に体系的に学べる書籍で学習する

東京大学のデータサイエンティスト育成講座」という東京大学で実施された講座で使われた教材がベースになった書籍で勉強してみましょう。全ての内容に取り組まなくても大丈夫です。Chapter 9まで頑張ってみましょう。もし、この本に書かれている統計に関する用語がわからない場合は「統計WEB」というサイトで用語を調べてみるとわかりやすいです。

『東京大学のデータサイエンティスト育成講座』
著者:塚本邦尊、山田典一、大澤文孝 監修:中山浩太郎 協力:松尾 豊 出版社:マイナビ出版
定価:3,278円(税込み)

2. 基礎を学んだらKaggleで実践する

書籍で基礎を学んだら「Kaggle」に挑戦してみましょう。
いきなり実際のコンペに挑戦するのはハードルが高いため、「タイタニックコンペ」という練習用のコンペに参加してみましょう。「タイタニックコンペ」では他の人が書いたプログラムが閲覧できます。「どのようにデータの前処理をしているのか」、「どのような分析手法を使用しているのか」等を吸収しましょう。もし、実際のコンペに参加することや、より実践的な技術を学びたい場合は「Kaggleで勝つデータ分析の技術」を読むことをオススメします。こちらの本も全ての内容を読む必要はありません。目次から気になる項目や今必要な知識をつまんで読むことをオススメします。

『Kaggleで勝つデータ分析の技術』
著者:門脇 大輔、阪田 隆司、保坂 桂佑、平松 雄司 出版社:技術評論社
定価:3,608円(税込み)

3. 分析屋の技術ブログで興味の幅を広げる

分析屋では社員が勉強したことをアウトプットする場として技術ブログを運用しています。現場で働くデータサイエンティストが何に興味を持ち、何を勉強したかを覗いてみましょう。そうすることでデータサイエンティストの業務の広さを知ることができます。
分析屋技術ブログ

まとめ

データサイエンティストはデータを分析し、ビジネスの意思決定や課題解決に活用する専門職です。Python、R、SQLなどのプログラミング言語を駆使して、データの収集、前処理、分析、可視化などを行います。本記事で紹介した3つのプログラミング言語の特徴は以下のとおりです。

  • Python: 汎用性が高く、データ分析や機械学習のライブラリが豊富で初心者にも学びやすい
  • R: 統計解析やデータ可視化に特化しており、Tidyverseというパッケージ群がデータ分析に有効
  • SQL: 大きなデータを扱う場合、データベース操作に必要不可欠なプログラミング言語

そして、データサイエンティストを目指すならPythonを最初に学ぶことをオススメします。

分析屋でデータサイエンティストのキャリアをスタートしよう

データサイエンティストには高度なデータ分析スキルに加え、ビジネス課題を解決へと導く力や、そこから新たな価値を見いだし、ビジネスアクションへとつなげる能力が求められます。現状では、必要とされるスキルをすべて兼ね備えていなかったとしても問題ありません。実務を通して知識やスキルを磨き、データサイエンティストへとステップアップしていくことは十分可能です。

分析屋では、「おもてなしの精神」を取り入れた育成環境のもと、単なるデータ分析にとどまらず、本質的な意思決定支援ができる人材を育成しています。技術力はもちろん、ビジネス理解や対話力も養えるため、データを活かす力を最大限に引き出せる環境が整っています。顧客の課題解決に寄り添いながら成長を目指すことで、市場価値の高いデータサイエンティストとしてのキャリアを築くことができるでしょう。

データをビジネス成果に結びつける、本物のデータサイエンティストを目指したい方は、ぜひ分析屋の採用ページをご覧ください。

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