
【結論】Javaは古くない。むしろ、キャリアの可能性を広げる“資産”になる
結論から言えば、Javaは決して古くありません。それどころか、これからのあなたのキャリアを大きく広げる強力な“資産”になります。
「Javaは安定してるけど、このままでキャリアは広がるのかな…」 SIerで働くエンジニアのあなたも、
「就職のためにどの言語を学ぶべきか…」 と悩んでいる学生のあなたも、
「データの世界に挑戦したいけど、どの言語から始めれば…」 と考えているあなたも、
一度はそんな風に感じたことがあるかもしれません。
この記事では、まずJavaがどんな言語なのかを解説し、その上でJavaの“常識”とされてきた使い方から、データ分野などの“最新”の活用法までを7つに厳選してご紹介します。読み終える頃には、Javaが決して古くない理由、そしてあなたのJavaスキルが、未来の市場価値をいかに高めるかに気づくはずです。
そもそも「Java」とはどんな言語?
Javaのできることを見ていく前に、まずはJavaという言語の歴史と、その最大の特徴を簡単におさらいしましょう。
歴史:家電を動かすために生まれた
Javaは1990年代に生まれた、比較的歴史の長いプログラミング言語です。少し意外かもしれませんが、Javaが最初に作られた目的は、パソコンのソフトウェアを開発するためではなく、家電製品などを動かすためのものでした。
テレビやオーディオなど、世の中には様々な種類の機械があります。そのどれもが違う作りをしている中で、どんな機械の上でもちゃんと動くプログラムが必要だ、という考えからJavaは生まれました。この「どこでも動く」という思想が、Javaの未来を大きく決定づけることになります。
Javaを支える3つの大きな特徴
Javaにはたくさんの特徴がありますが、特に重要なものを3つに絞ってご紹介します。
① どこでも動く(プラットフォームに依存しない)
Javaの最大の特徴です。これを実現しているのがJVM(Java仮想マシン)という仕組みです。
【かんたん解説】JVM(Java仮想マシン)とは? Javaのプログラムと、世界中のコンピューター(Windows, Macなど)との間に入ってくれる、超優秀な同時通訳者です。 Javaのプログラムは、この通訳者(JVM)が理解できる言葉で書かれています。そのため、JVMさえあれば、どんなコンピューターの上でも同じようにプログラムを動かすことができます。これが「一度書けば、どこでも動く」と言われるJavaの強さの秘密です。 |
② 早く、安全。大規模開発を支える「部品化」の考え方
Javaは、「オブジェクト指向」という、プログラムを効率的に作るための考え方を採用しています。これはプログラムの作り方の話です。たとえるなら「レゴブロック」。 プログラム全体をいきなり作るのではなく、機能ごとに「部品(オブジェクト)」として作り、それらをレゴブロックのように組み合わせて、一つの大きなシステムを作り上げることができます。 この作り方には、
● 大人数で開発する時に、手分けして部品を作れる
● 一度作った部品を、別のプログラムで再利用できる
● 問題が起きた時に、原因となっている部品だけを交換・修理すればよい
といったメリットがあり、大規模な開発で特に力を発揮します。
③ 豊富な道具(ライブラリ)
ライブラリとは、世界中の開発者が作った「便利な機能の部品」を集めたものです。Javaには、このライブラリが非常にたくさん用意されています。 これにより、開発者はゼロから全ての機能を作る必要がなく、「車輪の再発明(すでに誰かが作ったものを、また一から作ること)」を避け、スピーディーで品質の高い開発ができるのです。
なぜJavaは「古い」と言われるのか?まずはその“常識”を確認
さて、そんなJavaが「古い」「お堅い」と言われる背景には、その圧倒的な安定性と信頼性があります。まさにその信頼性ゆえに、絶対に止まることが許されない社会の重要なシステムで、長年にわたり採用され続けてきたのです。
1. 社会インフラを支える「大規模開発」の代名詞
Javaといえば、まず思い浮かぶのがこの分野でしょう。
● 金融機関のシステム:銀行の口座を管理するシステムなど
● 官公庁のシステム:私たちの暮らしに関わる様々な手続きのシステム
● 企業の基幹システム:会社の会計や人事、在庫などを管理する重要なシステム
これらは、いわば社会の心臓部。ちょっとしたバグや停止が大きな混乱を招きます。Javaは、「レゴブロック」のように部品ごとに作っていく考え方(オブジェクト指向)のおかげで、大人数での開発でも品質を保ちやすく、セキュリティも非常に強固なため、「絶対に失敗できないプロジェクト」で選ばれる、いわばミスター・トラスト(信頼)のような存在なのです。
2. 堅牢性が求められるWebサービスのバックエンド
私たちが普段使うWebサービスでも、Javaは活躍しています。特に、大規模なECサイトや旅行の予約サイトなど、多くのお金や個人情報が行き交うサービスの裏側(バックエンド)を支えています。
【かんたん解説】バックエンドとは? レストランにたとえるなら、お客様が目にする客席やメニューが「表側(フロントエンド)」、その裏で調理を行う厨房が「裏側(バックエンド)」です。美味しい料理(快適なサービス)を提供するための、目には見えないけれど最も重要な部分を指します。 |
この厨房(バックエンド)を効率よく作るために、JavaにはSpring Frameworkという非常に有名な「道具セット」があります。
【かんたん解説】フレームワークとは? プログラムを効率的に作るための「骨組み」や「土台」のことです。料理でいえば、コンロや水道、調理台などが一式揃ったシステムキッチンのようなもの。これがあるおかげで、開発者は厨房の設計から始める必要がなく、すぐに料理(=機能の開発)に取り掛かれるのです。 |
古いどころか最先端。Javaの知られざる“今”と“未来”
Javaの本当のすごさは、ここまで見てきたような安定性を土台にしながら、今もなお最先端の技術領域で活躍し続けている点にあります。「古い」というイメージは、ここで大きく覆されるはずです。

1. Android開発で今もなお必須の存在
あなたの手元にあるスマートフォン。もしそれがAndroidなら、そのOSの根幹にはJavaが深く関わっています。最近は「Kotlin」という、よりシンプルに書ける新しい言語が主流になりつつありますが、Kotlin自体がJavaをベースに作られているため、Javaの知識はAndroidアプリを深く理解する上で今もなお必須のスキルです。世界に数十億台あるAndroidデバイスの根っこを、Javaが支えているのです。
2. 【最重要】ビッグデータ基盤を動かす心臓部
「データ分析といえばPython」と思っていませんか?それは半分正解で、半分は誤解です。
実は、世の中の膨大なデータ(ビッグデータ)を処理するための分析基盤(プラットフォーム)の多くは、Javaで作られています。
【かんたん解説】分析基盤(プラットフォーム)とは? データの世界を支える“社会インフラ”のような巨大な仕組み(ソフトウェア)です。たとえば、以下のようなものがあります。 ● Hadoop: 巨大なデータを安全に保管しておくための超巨大倉庫と、その中で作業をする工場がセットになったような技術。 ● Spark: 工場の中の作業をものすごく速くするための、最新鋭のロボットアームやコンベアのような技術。 ● Kafka: データが生まれた瞬間に、街中の様々な場所へリアルタイムに情報を届ける放送局や通信網のような技術。 |
これらは全て、データ分析の世界では超有名な“社会インフラ”ですが、その心臓部はJava、そしてJavaの「どこでも動く」を支えるJVM(Java仮想マシン)なのです。
つまり、Pythonが華麗にダンスを踊る“分析の舞台”を設営し、照明や音響を管理しているのは、Javaの役割なのです。この事実は、既存のJavaエンジニアにとっても意外な情報かもしれません。
3. クラウド時代に適応する“軽い”Javaの登場
「Javaはなんだか動作が重い」というのも、一昔前のイメージです。
近年、インターネット上の巨大なコンピューター(クラウド)で効率的に動くことを前提とした、“軽い”Javaの技術(Quarkusなど)が次々と登場しています。
【かんたん解説】クラウドとは? 昔は会社ごとにサーバーというコンピューターを持っていましたが、今はインターネットの向こう側にある巨大なコンピューター群を、みんなで必要な分だけ借りて使うのが主流です。この巨大なレンタル・コンピューターサービスがクラウドです。 |
このクラウド時代に合わせて、Javaも進化しました。まるで、巨大なレストラン(従来のシステム)だけでなく、注文が入った時だけ素早く調理するキッチンカー(現代的なシステム)のように、軽快に動けるようになったのです。
Javaスキルを武器に、市場価値の高いエンジニアになるには
ここまで見てきたように、Javaの活躍の場は多岐にわたります。このJavaスキルは、これからのキャリアを切り開く強力な武器となり、あなたの市場価値を飛躍的に高める可能性を秘めているのです。
1. IoTを支え、現実世界とつながる技術
自動車の自動運転システムや、スマート家電、工場のセンサーなど、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の世界でもJavaは活躍しています。どんな機械(プラットフォーム)の上でも同じように動く、というJava最大の特徴が、多種多様なデバイスが存在するIoT分野で非常に重宝されているのです。
2. Java×Pythonで実現する「本物のデータサイエンティスト」
データサイエンティストの仕事で、今ひとつの課題が生まれています。それは、「用意されたデータしか分析できず、データ基盤を自ら構築・改修できない人が多い」という課題です。
レストランのお客さん(従来のデータサイエンティスト)のように、厨房から出てきた料理(用意されたデータ)の味を評価(分析)するだけでは、ビジネスのスピードについていけません。 これからの時代に求められるのは、厨房に入り、メニュー開発から調理器具のメンテナンスまでできるシェフ(本物のデータサイエンティスト)です。つまり、データ基盤(Java)に自ら手を入れ、ビジネスに必要なデータを抽出し、それを分析(Python)するところまで一気通貫でできる人材です。
JavaとPython、この二つの言語を扱えるエンジニアは、市場では極めて希少です。もしあなたがJavaの経験者なら、Pythonを学ぶことで、他のデータサイエンティストが持ち得ない、圧倒的な市場価値を手に入れることができるのです。
まとめ:だからJavaは古くない。未来への投資になる
いかがでしたでしょうか。 Javaが「古い」と言われるのは、それだけ長く、社会の重要基盤として信頼され続けてきた証です。そして、その信頼性を土台にしながら、ビッグデータやクラウドといった最先端の領域へと、今もその活躍の場を広げています。
この記事でご紹介した7つの活用例は、そのほんの一部に過ぎません。
● プログラミングを学ぼうとしているあなたへ
Javaを学ぶことは、様々な分野への扉を開く、応用の効くスキルを身につけることです。
● 今のキャリアに悩んでいるJavaエンジニアのあなたへ
あなたのそのスキルは、あなたが思っている以上に価値があり、データ分野という新しい世界への強力なパスポートになります。
Javaを学ぶこと、そしてそのスキルを磨き続けることは、決して過去の技術への執着ではなく、未来のキャリアに向けた、最も賢い投資の一つなのです。
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