Analytics Hubとは?データの共有をラクにして、組織を動かすプロの活用術

「部署間でデータを共有したいけれど、権限設定が複雑すぎて結局CSVで送っている」「社内のどこにどんなデータがあるのか、誰も把握できていない……」。こうした「管理のスパゲッティ化」を解決するのが、Google CloudのAnalytics Hubです。

なぜ「スプレッドシート」や「直接共有」ではダメなのか?

結論から言うと、従来の共有方法では「数が増えたときの管理」が破綻するからです。

スプレッドシートやBigQueryの直接共有は、いわば「1対1の受け渡し」です。数人なら問題ありませんが、部署が増え、共有相手が100人、1,000人と増えると、「誰にどの権限をあげたか」を管理するだけでエンジニアの業務が埋まってしまいます。また、受け手側も「自分に共有されているデータがどこにあるのか」を探すだけで一苦労です。Analytics Hubは、データを「個別に配る」のではなく、「社内専用のデータショップ(カタログ)」を作るという発想で生まれました。

  • 公開側: 「このデータはこの広場(エクスチェンジ)に置いておくので、必要な人は自由に見てください」と一度設定するだけ。
  • 利用側: 広場に行けば、自分たちが使えるデータが一覧で並んでおり、欲しいものを選んで「購読」するだけ。

この「情報の公開と取得を切り離した(デカップリングした)仕組み」こそが、大規模な組織でデータ活用を加速させるための鍵となります。

分析のプロ集団である「分析屋」が、この技術の本質と現場を動かす活用術を解説します。

BigQueryのデータ共有を「自動化」し、運用負荷を激減させる仕組み

Analytics Hubを導入する最大のメリットは、セキュリティを強固にしたまま、データの「検索性」と「自由度」を劇的に高められることです。

コピーの増殖を止め、「唯一の正解」に全員がアクセスする

Analytics Hubは、データのコピーを作成させず、元データへの「ショートカット」を各部署に配布する仕組みです。

  • データの私物化を防ぐ:
    利用者は自分のプロジェクトにデータを「リンク」するだけなので、各自が勝手にコピーを作ってデータがバラバラになる(サイロ化)のを防げます。
  • 100%の鮮度:
    元テーブルが更新されれば、購読している全員の画面に即座に反映されます。
  • 圧倒的なスケール:
    スプレッドシートではフリーズしてしまうような数億行のデータも、BigQueryのパワーでそのまま共有・分析が可能です。

Analytics Hubでデータ共有を始める3つの手順

Analytics Hubは、エンジニアだけでなく、データの受け手となる現場担当者にとっても非常にシンプルな3ステップで構成されています。

1. データを「リスティング」として公開する

共有したいテーブルを選び、「リスティング(出品)」を作成します。ここで「このデータは昨日の売上確定値です」といった注釈を添えることが、現場の混乱を防ぐ「おもてなし」の第一歩です。

2. 共有されたデータを「購読」して自社環境へリンクする

受け手は、社内のデータカタログから必要なものを選び「購読」ボタンを押すだけ。専門知識がなくても、自分のBigQuery画面に新しいデータセットとして追加されます。

3. 外部の公開データセットを自社データと掛け合わせる

自社の売上データと、Googleなどが公開している「気象データ」や「人口統計」を結合します。「雨の日に売れる商品」といった、客観的な根拠に基づく提案が驚くほどスムーズになります。

データ活用で組織を動かすコツ

結論として、ツールを導入するだけでは組織は変わりません。データを「誰が、何のために使うのか」を想像し、受け手に寄り添う「おもてなし」の心が不可欠です。

「データはあるのに使われない」を防ぐ、配慮の設計

共有されたデータが「英語のカラム名ばかり」では、現場は動きません。

  • 日本語定義を添える: 専門用語を噛み砕き、データカタログとして整備する。
  • 「すぐ使えるSQL」を渡す: サンプルクエリを添えるだけで、現場の分析ハードルは一気に下がります。

(関連記事:共有後の管理に迷ったら**「データカタログ」**の記事もご覧ください)

ツールは手段。大切なのは「人間らしい意思決定」のための対話

分析結果を投げつけるのではなく、現場が「これなら納得できる」と思えるまで伴走する。それが分析屋のスタイルです。

まとめ|テクノロジーを、人間らしい意思決定のハブにするために

Analytics Hubは、組織内の「データの壁」を壊してくれます。しかし、その技術を活かして現場に「納得感」を生み出し、未来を変えるのは、他ならぬ「人の想い」です。

「単にシステムを作るだけでなく、もっと現場の力になりたい」。もしあなたがそう感じているなら、ぜひ私たちの他の知見にも触れてみてください。技術の先にある「人間らしさ」を大切にするプロフェッショナルたちが、あなたの視界を広げるはずです。

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