「またExcelが固まった……」と溜息をつきながら、再起動を待つ時間はもう終わりにしましょう。 大量のデータを扱う現代のビジネスにおいて、Excelだけで戦い続けるのは、徒歩で高速道路を移動するようなものです。
Pythonのライブラリ「Pandas(パンダス)」を味方につければ、これまで数時間かかっていたルーチンワークを数秒で終わらせ、ミスに怯える日々から解放されます。この記事では、実務の第一線でデータと向き合う私たちが、Pandasで「本当にできること」とその具体的なイメージを、コード例を交えてお伝えします。
Pandasとは?「Excelの限界」を感じている人がまず知るべきこと
Pandasは「表形式のデータを自由自在に、かつ高速に処理するための道具」です。
データ分析を劇的に効率化するPythonライブラリ
Pandasは、Pythonでデータ分析を行う際の「標準装備」とも言えるライブラリです。最大の特徴は、「DataFrame(データフレーム)」という、Excelのシートをさらに強力にしたようなデータ構造にあります。行と列を持つデータをプログラムで操作するため、一度手順を書けば、あとはボタン一つで全く同じ処理を繰り返せます。
100万行を超えても動く、Excelとの決定的な違い
Excelの最大行数は1,048,576行ですが、実際には数十万行を超えたあたりで動作が極端に重くなります。一方、PandasはPCのメモリが許す限り、数百万、数千万行のデータでもサクサクと処理可能です。
Pandasでできること10選|その手作業、数行のコードで終わります
Pandasを導入する最大のメリットは、人間の「手」を介さずに、複雑な処理を一気通貫で自動化できる点にあります。
① 膨大なCSV・Excelファイルの「一括読み込みと結合」
フォルダ内にある複数のファイルを、一つずつ開いてコピペする必要はありません。
import pandas as pd import glob # フォルダ内の全CSVを読み込んで1つに合体 files = glob.glob(“sales_*.csv”) df = pd.concat([pd.read_csv(f) for f in files]) |
② 必要なデータだけの「抽出・フィルタリング」
「20代かつ東京都居住」といった条件抽出も一行です。
# 特定条件(20代かつ東京)のデータを抽出 target_df = df[(df[‘age’] < 30) & (df[‘area’] == ‘Tokyo’)] |
③ 表記ゆれを整える「データクリーニング」
「株式会社」と「(株)」の混在なども一括置換。
# 名称の表記ゆれを統一 df[‘company’] = df[‘company’].replace({‘(株)’: ‘株式会社’}, regex=True) |
④ 欠損値(空欄)の「高度な補完・削除」
空欄を平均値で埋めるなどの処理も一瞬です。
# 空欄を売上平均値で埋める df[‘sales’] = df[‘sales’].fillna(df[‘sales’].mean()) |
⑤ ピボットテーブルを超える「データのグループ化・集計」
部署別、月別などの多角的な集計が自由自在です。
# 部署ごとの売上合計と平均を一撃で算出 summary = df.groupby(‘department’)[‘sales’].agg([‘sum’, ‘mean’]) |
⑥ 日付や時刻を扱う「時系列データの加工」
「曜日判定」や「月ごとの集計」も簡単です。
# 日付データから「曜日」を取り出す df[‘weekday’] = df[‘date’].dt.day_name() |
⑦ 文字列の「検索・置換・切り出し」
商品コードの中から品番だけを抜くといった操作も得意です。
# 商品名の先頭3文字だけを抽出して新カラムへ df[‘code’] = df[‘item_name’].str[:3] |
⑧ 複数テーブルの「マージ・突合」
VLOOKUP関数でファイルが重くなる苦労から解放されます。
# 売上データに商品マスタを紐付ける(ID突合) joined_df = pd.merge(sales_df, item_master, on=’item_id’, how=’left’) |
⑨ データの全体像を掴む「統計量の算出」
平均値、中央値、最大・最小値などを一つずつ計算する必要はありません。describe() を実行するだけで、主要な統計量を一括表示し、データの「癖」を瞬時に把握できます。
# 全カラムの平均、標準偏差、最大・最小などを一括表示 print(df.describe()) |
⑩ 図解まで自動で行う「データの可視化」
加工した結果を、そのままグラフとして出力できます。Excelでグラフウィザードを何度も操作する手間がなくなります。
# 売上の推移を折れ線グラフで表示 df.plot(x=’date’, y=’sales’, kind=’line’) |
なぜプロはExcelではなくPandasを使うのか
単に「早い」からだけではありません。Pandasを使う本当の理由は、分析の「信頼性」にあります。
「作業の再現性」がヒューマンエラーをゼロにする
手作業によるコピペは、どれほど注意してもミスが混入します。プログラムで処理を書くPandasは、「誰が実行しても同じ結果」を保証します。この再現性こそが、プロの仕事における信頼の基盤です。
綺麗なデータばかりではない「実務の泥臭さ」への対応力
実務のデータは欠損や表記ゆれだらけです。ノイズを排除し、真実に近づくための「配慮」をコードに込められるのが、Pandasを使いこなす面白さです。
分析の先にある「意思決定」を支えるデータ構造作り
ただ数字を出すことがゴールではありません。Pandasを駆使してデータを整理することは、意思決定者が「次に何をすべきか」を判断しやすくするための「おもてなし」でもあります。
Pandasをマスターしたその先へ
Pandasという武器を手に入れることは、単なるスキルアップではなく、あなたの働き方そのものを変える一歩になります。
ツールを使いこなすことは、誰かに「ゆとり」を届けること
あなたが5時間かけていた作業が5秒で終われば、残りの4時間59分で「なぜこの数字になったのか?」を考えることができます。この「ゆとり」こそが、仕事に新しい価値を生みます。
合理(データ)と情理(想い)を両立させる「おもてなし」の分析
私たちは、データを単なる数字の羅列とは考えていません。その裏には必ず、誰かの想いやビジネスの苦労があります。Pandasで効率化した先に、人間らしい洞察を添えて届ける。そんな「おもてなし分析」に共感してくれる仲間が増えることを、私たちは願っています。
[Pandasをもっと具体的に学びたい方へ]
「自分でもコードを書いてみたい」と思ったら、具体的な関数の使い方を解説したこちらの記事を参考にしてください。
→ [記事:pandasの使い方はこれ一本|実務で使う基本操作はこれ]
[データを使って、誰かの役に立ちたいと考えている方へ]
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