
塾講師、保険の営業といった仕事を経験した後、分析屋に転職したKさん。未経験で入社した7年前、分析屋は発展途上にあり、少数精鋭でハードな仕事を日々こなしていました。
そのような働き方が苦にならなかったのは、分析屋には未経験者でも学ぶ意欲がある人にはチャンスを与える文化があったからです。
データ分析についてはほぼ未経験の状態で分析屋に入社し、「今後は基礎を学び終えた人の次のステップとして、より実務に活かせる学びを提供していきたい」と話すKさんに、これまでの歩みを中心に話を聞きしました。
体当たりで取り組んだ最初の現場が、成長のきっかけになった
始めに、今担当されている仕事の内容から聞かせください。
アパレル会社に常駐して、業務効率化につなげるレポートを作成したり、クライアントと顧客の関係をLTV(顧客生涯価値)にもとづいて分析したりしています。
クライアントが何を求めているかを知るには、コミュニケーションが大切です。チャットや打ち合わせを通じてクライアントの話をよく聞き、分析データやレポートとも照らし合わせて、認識に齟齬がないかを確かめています。
ワークスタイルや、社内のポジションについても聞かせてもらえますか?
近年はテレワークと出社が半分ずつですね。出社の日は、通勤ラッシュを避けるため、朝5時頃に起き、6時には家を出るようにしています。通勤電車には1時間半くらい乗り、7時半にはオフィスに着いて業務の準備をするようにしています。
分析屋には、「将(しょう)コース」と呼ばれるマネジメントコース、データ分析のスペシャリストを目指す「剣(けん)コース」、仕事とプライベートの両方を大切にして自分のペースで成長していく「武士コース」の3つのキャリアパスがあって、面談を通じて自分の働き方を決めることができるんです。私は将コースで、プレイングマネージャー的な働き方をしています。
こうして今のキャリアパスを話してみると、私が入社した頃に比べ、かなり従業員が自分の適性に合った働き方を選びやすくなったと感じますね。
7年前の入社時から現在の業務を担当するまで、どのようにステップアップしたのでしょうか?
入社直後は、一定期間の研修を受けました。現在は社内に教育チームがあり、実務に合わせた幅広い教材で2ヵ月しっかり学べますが、当時は今ほど充実したものではありませんでしたね。それでも、Excelの定型作業を自動化できるVBAなどを学ぶことができ、その後はすぐに最初の現場にアサインされました。
現在では分析系の案件が中心ですが、入社当初はプロジェクト全体を管理するPMO案件にアサインされることも少なくありませんでした。最初に参画した保険会社の案件でもPMOを務めましたが、私はそれまで開発の実務経験もなく、研修で学んだ知識くらいしかない状態だったため、体当たりのような感じで…。当時の上長に手取り足取り教えていただいて、何とか乗り切りました。
仕事に対する満足度はいかがでしたか?
慣れない仕事だったので大変でしたが、それ以上に楽しかったです。クライアントが大企業で、案件に関わる人が多かったこともあり、いろいろな人に教わって導いてもらいました。
おかげで、配属から間もなく、ほぼ一人でプロジェクト責任者であるPMに近い立場を任されるようになり、飛躍的に成長できたと思います。今の自分を作った現場だといっても過言ではありません。
クライアントには仕事を通じて信頼していただき、良い関係を築けたと思っています。次の案件にアサインされて現場を離れるときには、一言ずつメッセージを書いた色紙と花束、そしてクライアントに誘われて始めたフットサルのシューズをプレゼントしていただきました。
「社員が辞めるときより盛大だよ」と言っていただき、次につながる大きな自信になりましたね。
次の現場はいかがでしたか?
次は、SASという統計計算ソフトを使用した、POSデータの集計や加工がメインの仕事です。ここで、いよいよデータ分析に関われるようになりました。
とはいえ、当初はデータ分析の関連用語さえはっきりわかっておらず、実務を通じてキャッチアップしていきましたね。
3つ目は、無人コンビニにおける来客分析システムの開発に携わり、その後もいくつかの現場を経験して今に至ります。

塾講師と保険営業を経て、やりたいことを仕事にしたいと思うようになった
学生時代は、どのようなことを学びましたか?
宇宙に興味があったため、大学で宇宙素粒子物理学を専攻し、大学院では「暗黒物質」や「ダークマター」と呼ばれる、宇宙を構成する目に見えない物質の研究をしていました。
ご存じの方も多いかもしれませんが、岐阜県飛彈市の神岡町にある「スーパーカミオカンデ」という実験装置を使って、日夜研究に励んでいました。
周りには、卒業後も研究を続ける人が多かったですが、私は研究に没頭するよりも、社会に出て視野を広げ、さまざまな経験をしたいと思いました。
社会人として、一般的な教養を身に付けたいと思ったんです。そのため、研究生活に区切りをつけ、就職することにしました。
新卒で入った会社では、どのような仕事をしたのですか?
就職活動で目指したのは、学習塾業界です。元々、勉強は好きなほうでしたし、人に教えるのも好きでした。そういう部分を専門的に磨いてみたいと考え、塾講師にチャレンジしました。
教えることが好きだったため、生徒と接する授業そのものはおもしろかったですね。しかし、いざ働いてみると、想像を絶するスーパーハードワークでした。
生徒に合わせ、遅い時間帯から授業を始めることも多かったですし、授業の前後に行う準備や事務作業の負担も大きく、ゆっくり休める時間は作れませんでした。
限界を感じたのは、入社3ヵ月くらい経った時期です。人に教える仕事がしたくて飛び込んだ世界でしたが、これ以上は無理だと感じ、転職を決意しました。
しかし、当時はなかなか仕事が見つかりませんでした。転職先を求め、東京都が実施していた就職支援プログラムに参加して、保険会社の営業職にキャリアチェンジしました。
新しい仕事には、どのように取り組まれたのですか?
担当したのは、個人向けの生命保険と、法人向けの損害保険の営業です。
この仕事もそれなりにハードワークでした。その保険会社では、営業の売上目標を自分で設定できるのですが、私は思い切って、会社の中では最高といえるほどの目標を自分に課したんです。
電話でアポイントを取って営業先に足しげく通うだけでなく、営業のノウハウなどは独学で身に付けました。その結果、なんとか大型の受注を決めることができ、目標を達成できました。
入社時の目標は達成したものの、営業は、結果を出せば出すほど周りの期待値が上がり、次の目標値も上がっていく仕事です。
大型受注を決められたのはうれしかったですが、そのような働き方を続けるのではなく、もっと自分が好きな仕事に就きたいと思うようになり、転職することにしました。
次の仕事はどのように決めたのでしょうか?
転職先を考えているときに頭に浮かんだのが、星を観測したり、ガンマ線の値を分析したりしていた大学院時代の経験です。データにもとづいて、物事の見通しをつける作業がとてもおもしろかったことを思い出したんです。
これを機に、自分がおもしろいと感じる、やりたいことを仕事にしたいと思うようになり、データ分析に関われそうな会社に絞って転職活動をしました。
分析屋に応募したのは、社名がストレートでわかりやすく、第一印象が良かったからです。求人票の業務内容にも、「顧客情報を適切に管理し、営業やマーケティングに応用するためのCRM分析を行う」といったことが記載されており、おもしろそうだと思いました。
塾講師時代と営業時代を通じて、データの分析などに携わった経験はありましたか?
実は営業をしていた時期に、事務仕事の一環でMicrosoft OfficeのVBAを少し操作したことがありました。業務上、やらざるをえなかったんですが、周りはみんな苦手だったため、私が代わりに対応していましたね。
とはいえ、経験はそれくらいしかなかったので、不安だったのが正直なところです。分析屋は未経験でも採用するという方針でしたが、「実際はハードルが高いんじゃないか」「本当に活躍できるだろうか」と悩みました。
ただ、私はそれまでにも未経験の業界に飛び込んだ経験があり、自分なりに「まずはここまでできるようになろう」と目標を決めて進むのが、わりと得意なんですね。つらいこともありましたが、そこまで苦に感じずに乗り越えられたと思っています。
分析屋への入社の決め手になったのは、どんなことでしたか?
面接の際に、現社長の溝口が話してくれたことが大きかったと思います。社長は面接で、「分析で日本を変える」「おもてなしの精神を大切にする」といった、分析屋が最も大切にしている価値観について話してくれました。
私自身、営業時代にはおもてなしの精神で顧客に接し、信頼を築いていた経験がありましたので、社長の話には共感するところが多くありましたね。
データ分析というと、毎日のようにパソコンに向かって仕事をし、感情よりもロジックを重視するといった働き方が一般的なイメージです。しかし、社長の言葉から、クライアントに寄り添い、データ分析を通じて顧客の意思決定をサポートしたいと想う思いが伝わってきて、入社を決めました。
当時は会社の規模が小さかったこともあってか、面接スタイルも独特でしたね。私の面接は品川駅近くの喫茶店で行われたのですが、「たまたま近くに来る用事があったから」という理由で別の先輩社員が面接に加わり、現場の仕事の流れやおもしろさについて熱弁をふるってくださったのは、今ではいい思い出です。
成長し続けたいと思う人を支援していきたい
今後の展望について聞かせください。
現在の分析屋は、私が入社した頃から社員数が飛躍的に増え、会社の規模が大きくなりました。一方で、仕方のないことですが、社員同士の連帯感や交流は、当時ほど濃厚で強いものではなくなってきているかもしれません。
そのため、これから入社される人が安心して働けるように、少しずつ社内の制度や仕組みづくりにも貢献していきたいですね。
具体的には、社内研修に応用編や発展編といった高レベルな内容のものを取り入れ、データ分析のスペシャリストとして成長し続けたいと思っている人を支援できたらと考えています。
例えば、現在社内には新卒入社時研修と中途入社時研修があり、そのほかにメンタルヘルスなどに関する研修が用意されています。新卒社員や中途社員は基礎的な研修を経て現場に出ることになりますが、以降の研修はまだありません。現場に出て実務経験を積んだ後に、「もう少し詳しく知りたい」「もっと学びたい」と思ったときに受けられる研修があればいいなと考えています。
データ分析を仕事とし、データサイエンティストの上位職などを目指していきたい人のための研修や教育プログラムを用意できれば、より具体的にキャリアパスを描けるようになるでしょう。私の強みである教える力も、そこで活かせたらうれしいですね。
分析屋は、がんばった人が、がんばった分だけ正しく報われる会社です。この魅力をより強化できるように、内部から貢献していきたいと思います。