
データ分析は、情報を収集・整理した上で目的に沿って分析し、組織の意思決定や経営判断に役立てる仕事です。
課題を明確に認識した上でデータ分析を依頼するクライアントだけでなく、「やりたいことはあるけれど、何から手をつけていいかわからない」といった悩みを抱えるクライアントにとっても、データから「やるべきこと」をいっしょに探してくれるNさんほど心強い存在はないでしょう。
常にクライアント視点で考え、ビジネスを成長させるために伴走することを心掛けているNさんに、これまでのキャリアと今後の展望について聞きました。
新卒時代から「どうすればクライアントのためになるか」を考えていた
大学卒業後は、どのような仕事に就いたのですか?
私が通った大学では、ほとんどの学生がシステムエンジニアとして就職するような環境だったこともあり、私も卒業後はシステムエンジニアを派遣する会社に就職しました。
仕事ではプログラミングにも携わりましたが、私はプログラミングが得意だったわけではありません。だからといって、人と話すのが得意でもなく、話を盛り上げたり、ピンポイントで核心をついたりする力があるというわけでもありませんでした。
ただ、人の話を聞くことは苦ではなく、相手の求めているものを引き出すのは好きだし、得意でもありました。当時の上司は、私のそういう資質を見抜いていたのかもしれません。途中からは、クライアントとシステムの仕様などについて折衝する仕事を任されるようになりました。
最初はもちろん手探りでしたが、クライアントの話を聞いてやるべきことを見つけ、必要なシステムの形を可視化して示せるようになると、次第にこの仕事がおもしろいと思うようになったことを覚えています。
その頃から、ただクライアントが希望するものをそのままアウトプットするのではなく、「クライアントはこう言っているけど、実は本当に求めているものは違うんじゃないか」と疑ってみて、場合によっては希望とは異なる仕様も提案していましたね。
仕事は忙しかったですが、感謝の声をいただくことも多く、クライアントのための仕事ができている実感があって楽しい時期でした。
転職しようと思った理由をお聞かせください。
転職を考えたのは、もっと深くクライアントと関わりたいと思うようになったからです。当時担当したプロジェクトは基幹システムの構築だったので、納品して運用フェーズに入るところからは、別のチームが担当することになります。
クライアントの困り事や悩みを解決する手段として提供したシステムですから、現場できちんと役立てられるかを見届けたいという希望がありましたが、会社からは納品後、すぐに次の案件に移るよう指示されました。このことが、もっと長期にわたって、クライアントの仕事に責任を持って関われる仕事がしたいと考えるきっかけになったと思います。
次のプロジェクトでは、クライアントの課題がデータに現れていると思えるケースを目の当たりにしました。この体験を通じて、クライアントの課題解決にデータが有用であることを実感したのです。
このように、仕事に対する考え方が変化するとともに転職したい気持ちが強くなり、そのプロジェクトが完結するタイミングで退職し、分析屋に転職しました。
分析屋に興味を持ったのは、社名がユニークだったからです。ビジネスをダイレクトに表しているところが魅力的でしたね。
分析屋への入社の決め手は、どのようなことですか?
分析屋に入社すれば、やりたかったデータ分析の仕事ができそうだと思ったことが決め手になりました。社風や働き方は、特に気にしていませんでしたね。
当時は転職に対するネガティブなイメージが薄れていた時期で、スキルを磨いてより良い環境へステップアップする人が増えていたことも、思い切って転職する勇気をくれたと思います。やりたいことを仕事にできて、しっかり成長できそうな環境へ行こうと考え、分析屋への入社を決めました。
前職では、「データ分析の会社に転職する」と申し出たら、退職する前に少しだけデータ分析の仕事を任せてもらえました。分析屋に入社する前にデータの収集や分析の仕事に関われたのはいい経験でしたね。
データを得るには、泥臭い方法をとることも大切
入社後は、どのような仕事に携わりましたか?
最初にアサインされたのは、ソーシャルゲームのデータ分析です。データの抽出、分析、施策のプレゼンテーションまで一貫して担当しましたが、当時はわからないことだらけでしたね。
現在の分析屋は研修や教育が充実していますが、私が入社した7年前はまさに発展途上の段階。社内の研修はなく、常駐先で渡された資料を見るなどして、自分で勉強するしかありませんでした。1ヵ月程かけて、データベースを操作するためのプログラミング言語であるSQLを覚えました。
SQLはなんとか習得しましたが、次はデータ分析の結果をどう見せればクライアントに伝わるかがわからず、半年くらいはずっと苦戦していた記憶があります。
いっしょに働いていた先輩に「どうしたらクライアントにわかりやすく伝えられますか」と聞いても、はっきりとした回答はありません。「アイディアが降りてくるのを待つんだよ」と言われ、余計に悩んだこともありました。
わからないことだらけで大変でしたが、それでもがんばれたのは、データ分析がやりたい仕事だったからです。データ分析をやりたいと思って転職したので、大変なことも成長するために避けられないステップとして、前向きに受け止められたんだと思います。
入社前にデータ分析をした経験があっても、入社後すぐに頭角を現すのは難しいと早々に理解できたことも、地道にがんばる原動力になりました。
その後は、どのようにステップアップしたのですか?
2つ目の案件では、1つ目よりもクライアントの担当者に近いポジションを任されました。
私は、データ分析に関する知識や技術はそれほど高くありません。ただ、クライアント視点で物事を見たり考えたりできることは、ほかの人にはない強みだと思っています。その点を会社も理解してくれて、2つ目の案件では顧客寄りの仕事を任せてくれたのです。
具体的には、新しい動画配信サービスを予定しているクライアントにデータ分析の基盤となるシステムを提供し、そのシステムを使えばどのようなデータ分析ができ、どういうメリットがあるかを伝える業務です。
従来の動画配信サービスの稼働状況を調査し、そのデータにもとづいて新サービスのインフラを整えることもしていました。
こちらの案件で印象に残っていることはありますか?
配信するコンテンツの方向性を決めるために、データを提供したときのことが印象に残っています。
どのような映像コンテンツを配信するかは、動画配信サービスのユーザー数を大きく左右する重要な要素です。どの方向性が望ましいかについてはある程度データがありましたが、さらに説得力を持たせるために、その動画配信サービスの配信コンテンツに詳しい知人へヒアリングを行いました。これによって、定量データだけでなく定性データも得ることができ、最終的な配信コンテンツの方向性の決定につなげられたと思います。
このことから、数値などに表されるデータだけでなく、時にはこのような泥臭いやり方で定性データを得ることも大切だと実感しました。
事業活動が良いスタートを切れるよう、データ分析を通じて伴走する
現在は、どのような仕事をしていますか?
今は、位置情報機能を使ったユーザーのモニタリングデータを提供する、データプロバイダのPoC(Proof of Concept)案件に携わっています。PoCとは、新しいアイディアや理論を検証することで、ビジネスの実現可能性を確かめるために行われるプロセスです。
クライアントのご要望をヒアリングし、ご要望に沿ったデータの活用方法のご提案から、調査、分析、納品までを一貫して行っています。
クライアント自身が「やりたいことはあるけれど、どうすれば実現できるのかわからない」「何から手をつけたらいいかわからない」といった場合には、PoC案件の要件定義から関わることも少なくありません。
仕事において大切にしていることは何ですか?
私の仕事は、クライアントの事業活動がより良いスタートを切れるまで、データ分析を通じて伴走するイメージですね。そんな風に言うと、コンサルティングに近い仕事と思われるかもしれません。しかし、私はクライアントをリードするのは得意ですが、数百ページもの提案資料を作ることはしたくありません。
何らかの「やりたいこと」があるクライアントに寄り添い、最善かつ最速の実現方法をいっしょに考えることが、私の使命だと思っています。コンサルティングほどではありませんが、クライアントのビジネスをより良い方向へ導いていける今の仕事は、とても気に入っています。
自分の役割を果たすには、クライアントが本当に目指しているものが何なのか、そのためにはどうすれば良いのかを正しく認識しなくてはなりません。その認識がずれないよう、お互いの感覚を丁寧にすり合わせることを大切にしています。
例えば、「売上を大きくしたい」というご要望をいただいても、「一時的に売上を大きくすればいいのか、持続的に売上を上昇させていきたいのか」といった点を確認しないと、最終目標に対する認識にずれが生じてしまいます。それでは、クライアントが本当に望んでいるご提案はできません。
そのため、データを分析する前段階で、クライアントが目指すゴールをきちんと認識することが重要です。
これからのデータサイエンティストに求められることは何だと思いますか?
近年は、AIの性能がどんどん高くなっています。今後は、データの分析から解釈、結果の推測までをAIが高速で処理してくれるようになるのではないでしょうか。
しかし、クライアントとの対話を通じて意図を読み取り、そのためにはどのようにデータを収集、分析すればいいかを導き出して提案することは、人間にしかできません。
これからは、そのようなデータサイエンティストが求められる時代になると思いますし、「人間にしかできないデータとの付き合い方は何か」を突き詰めて考えられる人だけが生き残っていくのではないかと思っています。
私自身もそうありたいですし、分析屋にもそのような想いを持つ人が増えてくれるとうれしいですね。
経験がなくても、意欲があれば活躍できる
これから分析屋で、どのような仕事をしたいと考えていますか?
入社前に分析屋でやってみたいと思っていたことは、ある程度実現できたと思っています。実現したことの再現性についても、すでに複数の案件で証明できており、会社の知見として蓄積できました。
これからどのような仕事をしたいかは、今模索しているところです。自分のスキルや知見をさらに高めていくのはもちろんですが、マネジメントに関わる立場として、後輩や新たに分析屋に入社する人が働きやすい環境を作ることにも力を入れていきたいと思っています。
どんな人といっしょに働きたいですか?
人間にしかできないデータとの付き合い方に興味を持ち、実践するために真剣に努力できる人といっしょに働きたいですね。分析屋の仕事は、数字だけでなく、数字の先にいるクライアントを見て働ける人に向いていると思うからです。
たとえ経験が浅くても、やりたいことに正直に動ける人なら大丈夫だと思います。私自身もそうでしたが、やりたい仕事であれば、覚えるのに時間がかかってもがんばれますし、失敗してもモチベーションを保てるはずです。
最後に、分析屋への応募を検討している方にメッセージをお願いします。
分析屋の専門性の高さ、クライアントファーストの精神は、私が入社した頃から変わっていません。会社として成長するとともに、社内の教育やマネジメントも充実してきました。
社内の風通しは良く、わからないことも聞きやすい環境です。意欲があれば経験がなくても活躍できますので、やる気がある人はぜひご応募ください。いっしょに働ける日を楽しみにしています!