Pythonでできること9選|データサイエンティストが語る「一生使えるスキル」

「プログラミングを学んで、今の仕事やキャリアに活かしたい」
「Pythonが良いと聞くけど、具体的に何ができて、どう役立つんだろう?」

そんな疑問や期待をお持ちではないでしょうか。

この記事では、単にPythonで「できること」を網羅的に紹介するだけではありません。なぜそれが「一生使えるスキル」となるのか。あなたのキャリアを変える力を持っているのか。具体的な事例を交えながら、初心者にも分かりやすく解説します。

そもそもPythonとは? なぜ今、これほど人気があるのか

ところで、Pythonというと蛇のニシキヘビを思い浮かべるかもしれませんが、実は名前の由来は違うんです。開発者がイギリスのコメディグループ『モンティ・パイソン』の大ファンだったことから、敬意を表して名付けられました。「短くて、ユニークで、少しミステリアスな名前がいい」という思いつきだったそうですが、面白い由来ですよね。 (ちなみに、ロゴが蛇なのは、名前が決まった後から、誰にでも分かりやすいシンボルとして採用されたからだそうです🐍)

さて、そんな遊び心のある名前を持つPythonですが、なぜ今、これほど人気があるのでしょうか。

結論から言うと、Pythonが人気なのは「学びやすさ」と「できることの多さ」を両立しているから。とてもバランスの良いプログラミング言語だからです。

プログラミングと聞くと、黒い画面に謎の英語がたくさん並ぶ難解なイメージがあるかもしれません。しかし、Pythonは他の言語に比べて、人間が読むことを意識したシンプルな作りになっています。

Pythonには、大きく分けて3つの特徴があります。

特徴1:シンプルで読みやすい

文法がとてもシンプルで、まるで英語を読むかのように直感的に理解できることが最大の特徴です。そのため、プログラミングが初めての人でも、最初の一歩として学ぶのに最適です。

特徴2:ライブラリが豊富

Pythonの最も強力な特徴です。「ライブラリ」とは、一言でいうと「プログラミングを組み合わせて作った部品」のことです。ライブラリを使えば、ゼロからプログラミングを自分で書く労力を大幅に省くことができます。

料理に例えると分かりやすいかもしれません。カレーを作るのに、スパイスを畑で育てて調合する…なんてことから始めたりはしませんよね。普通は、スーパーで売っているカレールーを使います。このカレールーが「ライブラリ」です。それを使えば、誰でも簡単においしいカレーが作れます。
Pythonには、この「カレールー」のような便利な部品が、世界中の技術者によってたくさん作られ、ほぼ無料で公開されています。例えば、

● データ分析をしたい
Excelのような表データを自在に操れる部品が詰まった「Pandas (パンダス)」というライブラリ

● グラフを作りたい
綺麗なグラフを簡単に描ける部品が詰まった「Matplotlib (マットプロットリブ)」というライブラリ

● AIを作りたい
AIの頭脳を手軽に作れる部品が詰まった「Scikit-learn (サイキット・ラーン)」というライブラリ

といった具合に、やりたいことに合わせて最適なライブラリを借りてくることで、ゼロから全部自分で作らなくても、すぐに高度な機能を実現できるのです。

特徴3:汎用性が高い

Webサイトの開発から、AI開発、データ分析、業務の自動化まで、非常に幅広い分野で使うことができます。一度スキルを身につければ、将来「やっぱりこっちの分野に挑戦したい」と思った時にも、学んだ知識を活かしてキャリアチェンジしやすいのです。

この「学びやすいから、始めやすい」「できることが多いから、将来の選択肢が広がる」という2つの特徴こそが、Pythonが世界中で選ばれ「最初の一歩」であり、かつ「一生使えるスキル」になると言われる理由なのです。

たった5行! Pythonコードを覗いてみよう【コード事例】

「シンプルだ、カンタンだと言われても、まだイメージが湧かない…」と感じるかもしれませんね。 結論として、Pythonのコードは驚くほど短く、直感的に書くことができます。

例えば、あるニュースサイトのトップ記事の見出しを自動で取ってくる、という処理を考えてみましょう。普通にやるとサイトを開いて、見出しをコピーして…と手間がかかりますが、Pythonならたった5行で完了します。

import requests
from bs4 import BeautifulSoup

# Webサイトの情報をまるごと取得
res = requests.get(‘https://news.yahoo.co.jp/’)
# 取得した情報を、人間が扱いやすいように整理
soup = BeautifulSoup(res.text, ‘html.parser’)
# 整理した情報から「一番大きい見出し」を指定して、文字だけ表示
print(soup.select_one(‘.sc-fLlhyt’).text)

いかがでしょうか。 先ほど説明した「ライブラリ」がここでも活躍しています。「requests」という「Webサイトの情報をごっそり取ってきてくれる」便利なライブラリと、「BeautifulSoup」という「取ってきた情報を綺麗に整理してくれる」ライブラリを使うことで、たった数行のコードで目的を達成できるのです。このように、Pythonでは便利なライブラリを組み合わせることで、まるで英語を読むように、直感的にやりたいことを実現できるのです。

Pythonでできること8選|仕事から趣味まで完全網羅

それでは、Pythonで具体的に何ができるのか、代表的な8つの例を見ていきましょう。結論として、Pythonはあなたの仕事の生産性を上げ、新しいサービスを生み出し、日々の生活を少し豊かにする力を持っています。

① データ分析・可視化【ビジネスの意思決定を支える】

Pythonが最も得意とする分野の一つです。売上データや顧客データなどを分析し、「なぜ売上が伸びたのか」「どんなお客様が商品を買ってくれているのか」といった、ビジネスに役立つヒントを見つけ出します。さらに、その結果をグラフなどにして、誰にでも分かりやすく「見える化」することも可能です。

Pythonは、データという材料からビジネスのヒントという料理を作る「凄腕のシェフ」のようなものだと考えてみてください。

そして、巨大な冷蔵庫であるデータベース(データの保管庫)から目的の食材(データ)を取り出すために、このシェフが使う便利な道具が「SQL」という専門の言語です。

Pythonは、このSQLという道具も巧みに使いこなし、食材の調達(データの取り出し)から、分析、調理(高度な分析やAI予測)、そして美しい盛り付け(グラフ化)まで、全ての工程を一貫して自分の厨房(Pythonの実行環境)で完結させることができます。

このように、データの世界における様々な道具を使いこなし、最初から最後まで一貫して価値を生み出せる点こそ、Pythonがデータ分析の主役である理由です。

② 機械学習・AI開発【未来を予測し、自動化する】

今話題のAI(人工知能)開発も、Pythonの中心的な役割です。画像に写っているのが犬なのか猫なのかを判別したり、過去のデータから未来の売上を予測したり、YouTubeであなたにおすすめの動画を表示したり。こうした「コンピューターが人間のように学習し、判断する」仕組みの多くがPythonで作られています。

③ Webアプリケーション開発【世界中で使われるサービスを作る】

実は、私たちが普段使っているWebサービスにもPythonはたくさん使われています。例えば、InstagramやDropboxといった世界的なサービスは、Pythonを使って作られていることで有名です。多くの人が利用するサービスの裏側の仕組みを、Pythonで開発することができます。

Webアプリケーション分野では、大規模システムに強い「Java」なども有名ですが、Pythonが選ばれる理由は、「開発スピードの速さ」と「AI・データ分析との相性の良さ」にあります。

たとえば、YouTubeのおすすめ機能のように、WebサービスにAIやデータ分析の機能を直接組み込める点はPythonの最大の強みです。Javaなどでは別々のシステムを連携させる必要がありましたが、Pythonなら一つの言語でスムーズに実現できます。この特長こそ、データ活用が鍵となる現代のWebサービスにおいて、Pythonが採用される理由です。

④ 業務自動化(RPA)【面倒な定型作業を効率化する】

毎日やっている、ちょっと面倒なパソコン作業はありませんか?例えば、Excelの表にデータを転記する、たくさんのファイルの名前を一度に変える、定期的にメールを送るといった定型作業。Pythonを使えば、こうした作業を自動化するプログラムを自分で作ることができます。繰り返しの作業から解放され、より創造的で付加価値の高い仕事に集中する時間を生み出せます。

⑤ Webスクレイピング【Web上の情報を自動で収集する】

インターネット上にある膨大な情報の中から、自分が必要なものだけを自動で集めてくる技術です。例えば、複数の求人サイトから特定の条件の求人だけをリストアップする、競合サイトの価格を毎日チェックする、といったことが可能になります。先ほどのコード事例で使ったのが、この技術です。

⑥ ゲーム開発

Pythonは、個人や少人数で簡単な2Dゲームを開発したり、ゲーム開発の考え方を学んだりするのに適しています。「できるけど、一番得意というわけではない」とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

PlayStation 5などでプレイするような大規模な3Dゲームの多くは、処理速度が非常に速い「C++」という言語で作られています。Pythonは開発のしやすさを重視している分、この速度面では専門の言語に及びません。

とはいえ、ゲーム制作を補助するツール開発の現場で使われることもあります。

⑦ ブロックチェーン開発

ブロックチェーンは、取引記録を鎖のように繋げ、改ざんを極めて困難にする技術です。この複雑で間違いが許されないシステムの開発に、Pythonの「シンプルさ」が役立ちます。

暗号化などが絡む複雑な処理も、Pythonなら人間が読んで理解しやすいコードで書けるため、セキュリティ上の欠陥やバグを見つけやすいという大きなメリットがあります。

この「分かりやすさ」がシステムの安全性に直結するため、複雑な仕組みを安全かつ迅速に構築したい場合にPythonが選ばれているのです。

⑧ IoT・電子工作

「ラズベリーパイ」という小さなコンピューターに指示を出すのもPythonの得意技です。これを使うと、「部屋が暗くなったら自動で電気をつける」「決まった時間にペットに餌をあげる」といった、身の回りのモノをインターネットに繋いで便利にする「IoT」と呼ばれる仕組みを作ることができます。

⑨ API連携

Google MapsやX(旧Twitter)、LINEといった外部のサービスが提供している便利な機能(API)を、自分のアプリケーションに組み込むことができます。例えば、自社のサービスにGoogle Mapsの地図を埋め込んだり、特定のキーワードを含むツイートを自動で収集したりといったことが可能になります。

Pythonでキャリアはどう変わる?【職種別】よくあるビフォーアフター事例

Pythonができるようになると、あなたの仕事やキャリアは具体的にどう変わるのでしょうか?結論として、Pythonは今の仕事の質を劇的に高め、新しいキャリアへの扉を開く強力な武器になります。ここでは、職種別によくある変化の事例を見ていきましょう。

事例1:SE・プログラマー|「作る」から「課題を解決する」仕事へ

Before
 顧客の要件通りにシステムを開発する日々。厳しい納期に追われる中で、自分が作っているモノが、本当にビジネスの役に立っているのか実感しにくい…。

After:
データ分析スキルを身につけたことで、顧客自身も気づいていない「ビジネスの本当の課題」をデータから発見できるように。開発だけでなく、課題解決の根本的な提案まで踏み込めるようになり、仕事の付加価値と「顧客に貢献できている」という手応えが格段に上がった。

事例2:マーケター・企画職|「経験と勘」から「データで語る」仕事へ

Before
会議では、声の大きい上司の「経験と勘」に基づいた企画が優先されがち。「データで裏付けを」と思い、急いで資料を探すものの、十分に分析する時間もなく、結局「このデータって本当にそうなの?」というツッコミに対応できず、企画ごと一蹴されてしまう…。

After:
Pythonで顧客データを分析・可視化し、「20代の女性には、この施策がこれだけ響く可能性が高い」という誰もが納得せざるを得ない客観的な根拠を提示。自信を持って議論を進め、データに基づいた意思決定を主導できる存在になった。

事例3:営業職|「足で稼ぐ」から「データで狙う」仕事へ

Before
渡された営業リストの上から順に、ひたすら電話と訪問を繰り返す毎日。なかなか受注に繋がらない顧客へのアプローチも多く、非効率だと感じていた。

After:
過去の受注データや顧客のWebサイト上の行動データをPythonで分析し、「今、最も受注確度が高い顧客リスト」を自動で作成。優先順位をつけてアプローチすることで、成約率が劇的に改善し、スマートに成果を出せるようになった。

事例4:経理・総務・人事|「手作業」から「自動化で付加価値を生む」仕事へ

Before
毎月の請求書作成、勤怠データの集計、経費のチェックなど、膨大な手作業の繰り返しに忙殺され、一日が終わってしまう…。

After:
Pythonで面倒な定型業務を自動化するツールを自作。作業時間が1/10に削減され、空いた時間で採用戦略のデータ分析や、社員が働きやすい制度の企画立案など、より創造的で会社への貢献度が高い仕事に取り組めるようになった。

事例5:学生|「就活の武器」を手に入れ、キャリアの選択肢を広げる

Before
就職活動を始めたものの、情熱で乗り切るような営業職は自分には向いていなそう…。かといって、一日中パソコンに向かうシステム開発にも、あまり興味が持てない。本当にやりたい仕事が見つからず、キャリアの道筋を描けずに悩んでいた。

After:
Pythonと出会い、データ分析の面白さに目覚める。「これだ!」と直感し、**データサイエンティストという天職を発見。自らテーマを見つけて分析したポートフォリオ(作品集)は、論理的思考力と主体性をアピールできる「他の誰とも違う武器」となり、志望企業から「ぜひ来てほしい」と高い評価を得た。

Pythonを『一生使えるスキル』にするための最短学習ステップ

ここまで読んで、「自分もPythonを学んでみたい!」と感じた方も多いのではないでしょうか。結論として、正しいステップで学べば、誰でも3ヶ月程度で基本的なスキルを身につけることができます。

STEP1:まずは基本文法を理解する(2週間)
まずは、Progateやドットインストールといった、ゲーム感覚で学べるオンライン学習サイトで全体像を掴むのがおすすめです。「変数」や「if文」といった基本的なルールを、実際に手を動かしながら覚えましょう。

STEP2:自分の興味分野のライブラリに触れる(1ヶ月)
基本を覚えたら、自分がやってみたい分野のライブラリに触れてみましょう。データ分析に興味があるなら「Pandas」、Webサイトを作りたいなら「Django」や「Flask」といったライブラリの使い方を、本やWebサイトで学んでみてください。

STEP3:小さく「何か」を作ってみる(1ヶ月)
これが最も重要なステップです。「学んだこと」を「できること」に変えるには、とにかく何かを作ってみること。先ほど紹介した「業務自動化ツール」や「Webスクレイピング」などは、成果が見えやすく、達成感を得やすいので最初の一歩として特におすすめです。

いきなり本で学ばないことがコツ

当社で活躍する未経験出身のデータサイエンティストの意見としては

まず「何を作りたいか」が決まっていないのに、いきなり本で学ぶのは挫折しやすいためお勧めしません。データ分析とWeb制作では、学ぶべきことが全く違うからです。

その意味で、まずProgateやどっとインストールなどで「触れてみる」ことから始めるのは有効な手段ですが、その次にPythonというものの本質を理解することで「やりたいこと」が見えてきます。

その本質理解に最適なのが、Python開発元が提供する、いわば「公式の教科書」

Pythonチュートリアル

このサイトは、特定の料理の「レシピ本」ではなく、あらゆる料理に共通する「調理の基礎技術」を教えてくれます。基礎を学ぶ中で、Pythonという道具で何ができるか(=作れる料理)が見えてきて、自分の「やりたいこと」を発見できるのです。

目的が決まっていない方こそ、まずこのサイトで、Pythonという素材そのものを味わってみてください。

まとめ

この記事では、Pythonでできる9つのことと、それがあなたのキャリアの可能性を大きく広げる「一生使えるスキル」になる理由を、具体的な事例と共に解説しました。

Pythonは、もはやエンジニアだけのものではありません。 **職種や業界を問わず、あらゆるビジネスパーソンが、自分の仕事の価値を高め、キャリアを自らの手で切り拓くための強力な「扉」**です。

もし、あなたが「経験と勘」の世界から抜け出し、データという客観的な武器を手に入れて、ビジネスの課題解決に直接貢献したい、本質的な価値提案がしたいと強く考えるなら、私たち分析屋は最高の環境かもしれません。

文系出身のマーケター、元営業、元SEなど、多様なバックグラウンドを持つメンバーが、Pythonとデータ分析を武器に、日々クライアントの課題解決に挑んでいます。

少しでも興味が湧いたなら、まずは私たちのメンバーがどんな想いで、どんなプロジェクトに取り組んでいるか、採用サイトを覗いてみませんか?

あなたのエントリーを、心からお待ちしています。

分析屋 採用サイトはこちら

エントリーはこちら

  1. トップページ
  2. 仕事を知る
  3. Pythonでできること9選|データサイエンティストが語る「一生使えるスキル」

採用情報

方法や手段にとらわれず、課題解決に挑むことができる仲間を募集します。
「好奇心」と「向上心」をお持ちの方をお待ちしております。

NEWS

もっと見る